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Amazonプライムビデオで「うさぎドロップ(実写映画)」を見た感想

Amazonプライムビデオで実写映画版「うさぎドロップ」を見た。もともと私はこの作品のアニメを見てとても気に入り、その後で原作漫画を全巻読んでいたのだが、今回Amazonプライムビデオで視聴できるという事で見てみたわけだ。

なお私は芦田愛菜ちゃんという子役の名前は知っていてもその演技を見たのはこれが初めてなのだが、確かに見ていてとても可愛い女の子だなと思った。ただアニメや漫画のりんの幼くもどこか賢そうなしっかりとした印象と比べて芦田愛菜ちゃんはとても頼りな気で、アニメや原作よりも「かわいそう」という気持ちを強く感じた。ダイキチ役の松山ケンイチは非常によく合っていたと思う。

一番違和感を感じたのはコウキのママがなぜか茶髪のモデルという設定に変更されており、まあ見た目に反してしっかりとした母親なのだが、りんの実母である正子さんの印象にブレを生じさせる結果となっている。

まあ私は別に原作至上主義者でもなんでもないので、多少の改変はそれほど気にならないのだが、時間配分の関係もありアニメの方がやはり色々と丁寧に作られているのでこの映画を見て面白いと思った人はアニメを見てみるか、原作の漫画を読んでみる事がおすすめする。

ただし原作の漫画のラストは、実写映画の改変とかそういうレベルを超えて物議を呼んだりもしたので、作品に対して強く感情移入をしちゃうタイプの人にはあまりおすすめしないが。

Amazonプライムビデオで古谷一行の金田一耕助シリーズ「本陣殺人事件」を見た感想

Amazonプライムビデオで古谷一行の金田一耕助シリーズ「本陣殺人事件」を見た。

横溝正史による推理小説「本陣殺人事件」は、名探偵・金田一耕助が初めて登場する記念すべき作品であり、これまでに映画化される事2回、TVドラマ化は3回されている。今回視聴したのは1977年に古谷一行の主演で映像化された「横溝正史シリーズ・本陣殺人事件」というTVドラマシリーズである。

本陣殺人事件は名探偵・金田一耕助のデビューとしてだけでなく、戦後日本で初めて「密室殺人」を題材とした本格推理小説としても有名だ。だがその密室のトリックも、またこのTVドラマシリーズの映像もさすがに現代の感覚で見るとチープな印象が否めない。

前回見た「八つ墓村」と比べても、物語も舞台もスケールが小さいというか物足りなさを感じる。決してつまらない作品という訳ではないが、横溝正史や金田一耕助のファンというのでもなければあえて見る必要はない作品かも知れない。金田一耕助が好きなら彼のデビュー作として必ず見るべき作品ではあるが。

Amazonプライムビデオで古谷一行の金田一耕助シリーズ「八つ墓村」を見た感想

Amazonプライムビデオで古谷一行の金田一耕助シリーズ「八つ墓村」を見た。

横溝正史による推理小説「八つ墓村」は、映画化されること3回、TVドラマされること6回にも及ぶという名作中の名作だが、今回視聴したのは1978年に古谷一行の主演で映像化された「横溝正史シリーズII・八つ墓村」というTVドラマシリーズである。名探偵・金田一耕助を演じた俳優は数多くいるが、やはり私としては石坂浩二かこの古谷一行のどちらかと言うイメージが強い。

これまでに9度も映像化されてる事から「八つ墓村」という日本推理小説の傑作についてはあえて語る必要もないと思うが、このTVドラマシリーズは1978年に作られたというだけあって映像がとても古い。作品の舞台が戦後まもない昭和なのでドラマが作られた時代と20年以上もずれがあるのだが、現在はこのドラマが作られてからさらに30年以上の月日が経っている。どちらも私が生まれる前の話なので想像する他ないが、そのなんとも言えず時代を感じる所が良い。

悪い言い方をすればチープな映像が、横溝正史の描く戦後昭和の世界観と上手くマッチしていて良いのだ。あとは小説一本を1時間ドラマ5本で制作するなど今なら若干間延びした感もある脚本がのんびり見るにはちょうど良い。

この古谷一行の金田一耕助シリーズは他にもAmazonプライムビデオで視聴ができるみたいなので、暇があったら他の作品も見たいと思う。

Amazonプライムビデオで「ジュラシック・ワールド」を見た感想

Amazonプライムビデオで「ジュラシック・ワールド」を見た。

1993年にスピルバーグ監督によって映画化された名作の第4作目で2015年公開の作品と言う事だが、1作目の「ジュラシック・パーク」は見た記憶があるが、2作目の「ロスト・ワールド」と3作目の「ジュラシック・パークIII」は見たことがあるかどうか記憶が定かでない。そんなんでもハリウッドの大作映画の事だから過去作を見て無くてもきっと楽しめるだろうと思って、とりあえずこの4作目を見てみる事にした。

1作目では「恐竜を現代によみがえらせるなんてすごく画期的な技術!」みたいな扱いだったが、4作目では比較的にありふれた技術となっていて観客の興味をひき続けるために遺伝子操作により新たな恐竜を生み出すなんて事に手を出してる。となるとハリウッド映画のお約束としてその遺伝子操作で生み出された恐竜が檻から逃げ出して犠牲者が大勢でるんだろうなと思っていたら、やっぱりその通りになった。

まあこれは古典的お約束というか、ここにツッコんでも何も始まらないので物語の展開をドキドキハラハラしながら見守るというよりは、最新技術で実現された恐竜の映像を楽しむようになってくる。まあそこしか褒めようがないのだが。ただその最新技術のCGで描かれる恐竜のシーンはとても迫力がある。特に終盤で巨大な恐竜2頭が格闘した上での結末なんかは非常に見ごたえがあった。

手放しで面白いと褒められるほどではないが、そこそこ面白かったのでAmazonプライムビデオで引き続き2作目と3作目も見てみようと思う。

Amazonプライムビデオで「天河伝説殺人事件」を見た感想

Amazonプライムビデオで「天河伝説殺人事件」を見た。1991年に公開された映画で監督は市川崑、名探偵「浅見光彦」が活躍する内田康夫の推理小説を映画化した作品だ。

私は推理小説が好きでかつて内田康夫の浅見光彦シリーズもたくさん読んだ。この「天河伝説殺人事件」も原作を読んだ事はあるが映画を見たのはこれが初めてかも知れない。1991年の映画という事で女性の太い眉毛やスーツの雰囲気、赤いスポーツカーなどバブルの香りが懐かしい。最近ではあまりみかけなくなった緑の公衆電話なども昭和の雰囲気を感じさせる。

また昔の映画ならではの事と思うが、演技が少し野暮ったい。いまでこそベテラン、名優と呼ばれる役者の演技があまり良くないのがかえって面白い。役者の演技というより脚本と演出のせいかも知れないがあまり洗練されてない感じが逆に良かったりする。主演の榎木孝明の二枚目半というか、いまいち垢ぬけないお坊ちゃん的な感じが特に浅見光彦のイメージぴったりで良い。

あまり洗練されてないといえば画面の美しさは格別だ。特に物語に深く関わる薪能のシーンは、現代と比べて画面のコントラストがあまりはっきりしてない分だけ生々しい雰囲気が伝わってきて印象深い。

ミステリーとしての話の本筋はまあそれほど盛り上がりはないというか、奈良の山里で繰り広げられる愛憎劇だが金田一耕助シリーズと比べるとグロテスクさというか人間の内面の毒々しさに欠けるというか、これといった悪役がいないのが致命的だった。

それでも全体としてAmazonプライムビデオで暇つぶしとして見るには上出来だったと思う。

久しぶりにツインピークスを見たらやっぱりすごく面白かった件

前回みたのがいつだったのかもうすでに思い出せないくらいの話だが、すっごく好きだった事を思い出して久しぶりに見てみた。

いやあやっぱり面白い! のどかな雰囲気のあるアメリカの方田舎で繰り広げられる殺人事件を中心とした群像劇。主役のクーパー捜査官をはじめとして個性的で魅力的なキャラクター達。派手なアクションなんかはないけど、どんどん物語に引き込まれていってしまう。

ローラ・パーマー殺しの犯人が解ってしまった後は、まあ面白さが激減してしまうので最後まで見るに値しないが、それまでが面白すぎるので作品の評価を下げる事はない。

私と同じく昔みてはまっていたという方やまだ未見という方もぜひどうぞ。

40歳の童貞男を観た感想

アメリカはユニバーサル・ピクチャーズ配給のコメディ映画、「40歳の童貞男 (The 40 Year Old Virgin)」を観た。監督はジャド・アパトー、主演はスティーヴ・カレル。

作品の内容はタイトルからも想像できる通り、童貞のまま40歳になってしまった男・アンディが、同僚たちと自身の体験について会話しているうちに童貞である事がバレてしまい、同僚たちから童貞卒業のアドバイスを受けるというもの。ただし主人公がオタク趣味の童貞という割には、見た目に派手さはないもののこざっぱりと清潔で、性格も積極性は無いが人あたりの良い魅力的な男性で、本人が奥手であるという事を除いて作中ではかなり女性にモテている。他にもいろいろと設定につっこみたくなる人もいるだろうが、これはコメディなので設定のリアリティについてはあまり深く考えずに観た方がいいだろう。

ちなみに私はオリジナルならではのセリフ回しの面白さを楽しむために英語音声だけで観た。なのでところどころ性的なスラングの意味がよく解らずに笑いのツボを逃している感じもしたが、作中で何度も “Virgin (英語では男性も女性もバージンと言う)” という言葉が連発されるのには笑った。

中でも一番笑ったセリフは、アンディの童貞が同僚たちにバレた翌日、職場全員にそのことをバラされてしまって、みんなから色々と同情的なアドバイスを受けてアンディがいたたまれなくなっている所に、職場の上司らしい女性がその場を治めるために言ったセリフ。

All right, that’s enough. Party’s over. Let the virgin get back to work.
はいはい、もういいでしょ、もうお終い。童貞は仕事に戻りなさい。

この一言でとどめを刺されたアンディはついにその場から走って逃げ出し、さすがに悪いと思った同僚がそれを追いかけるシーンにつながる。ちなみにこの上司の女性も悪気があって言った訳ではなく、その後アンディの童貞を狙って色々とアプローチをかけてくる。

という事で前半はコメディらしく笑いどころが満載で面白いのだが、終盤に行くに従ってラブコメディの要素が強くなっていって笑いの要素が減ってくる。ラストはいかにもハリウッド映画という感じの終わり方で、良くも悪くも予想や期待を裏切らない作品に仕上がっていると思う。

という事で興味を持った人は過剰な期待を抱かずに気楽なきもちで観ると良いだろう。

24 TWENTY FOUR シーズン2を見た

前回シーズン1を見たのにひきつづき、24 TWENTY FOUR のシーズン2を見た。

シーズン1の感想ではボロクソに批判した私だったが、シーズン2ではうって変わって面白く見れた。何より前回と違ってCTUがきちんと組織的に操作している描写がきちんと描かれている所がよかった。相変わらずジャックバウアーはエゴイストだったが、キムの身の安全は捜査に戻る前提条件として認められた事だったので、前回ほどには気にならなかった。ただキムの身の回りに起きるサイドストーリー的な事件の描写は相変わらず不必要だと思ったので見ているあいだに何回か飛ばした。また終盤の展開がすこしだらだらしている印象も受けたが、全体としては高評価。世間の人々がこのシリーズを面白いといった理由がよくやく理解できた感じだ。

こうなったら近いうちにシーズン3を見るつもりでいる。その後どれくらいまでシリーズを見るかは解らないが、続きを見るのが待ち遠しい感じである。

24 TWENTY FOUR シーズン1を見た

本当にいまさらながらではなるが、アメリカのテレビドラマシリーズ、24 TWENTY FOUR のシーズン1を見た。

我ながら本当にいまさらだとは思う。しかし以前話題となっていたのをふと思い出して見てみた。感想としては期待が大きすぎたのか、思ったよりは面白くなかった。つまらないという程でもないのだが、全24話で丸一日を描くというこの作品最大の特徴が逆に作用した結果、中だるみというか物語に集中できない原因となった。

メインのストーリーは大統領候補の暗殺計画なのだが、それに関連して様々な事件が起きる。それはそれで良いのだと思うが、私が主人公のジャック・バウアーに感情移入できていないからか、彼の家族の安否がどうでもよく思えてしまって娘や妻の誘拐事件の過程を見ているのが辛かった。一回目はともかくそれが何度も繰り返されるから最悪で、彼の家族の態度も終始自己中心的で自分の意見を振りかざす感じでうけつけなかった。

しかしやっぱり一番の問題は主人公の性格が気に入らなかったというのが大きいと思う。彼は正義感が強く任務に忠実で家族に対する愛情もある。これだけ言うとヒーローにふさわしいように思えるが、一面では独善家で協調性が無く隙さえあれば不倫もする。別に悪人だとまでは思わないが、かっこよいヒーローだとも思えない。任務に忠実だが、家族が危険になれば任務はそっちのけで行動する。家族のためには危険を顧みず行動するが、他人や他人の家族は任務のために平気で危険に晒す。要するにダブルスタンダードなエゴイストで、まさにアメリカを象徴するキャラクターのように私には思えるのだ。家族や親しい友人としてなら頼もしいが、同僚や上司には絶対持ちたくないタイプの人間だ。

またこの作品にはCTUというテロ対策の特殊機関が登場するが、この機関の仕事もいまいちはっきりしない。ジャック・バウアーやその近辺の活躍をクローズアップさせるためか、組織立って業務をこなしている描写があまり描かれていないからだ。そのジャック・バウアーその他の行動も場当たり的で、俯瞰的に事件を見ている人物が上司にもおらず、そもそも組織内部で情報を共有している描写もない。架空の機関だからと言ってしまえばそれまでだが、こんな組織はFBIやNSAといった本物のテロ対策組織から見れば足手まとい以外の何者でもないだろう。

今回登場したテロリストグループも無能だ。そもそもボスの救出と要人の暗殺を同日にこなそうとする発想が無謀だと思う。敵対するCTUも無能なので助かってはいるが、最初の大統領候補暗殺が失敗した時点で計画は失敗と判断してアメリカを出国してなければおかしい。しかも目的が家族を殺された復讐って…、また家族ですか。このテロリストも自分の家族は大切にするが、仲間の娘は平気で殺すエゴイストでうんざりした。そのくせ復讐の内容に優先順位をつけられず、無理に二兎を追って自滅している。

結論としてやっぱり見る前の期待が大きすぎたのが悪かったと思う。いくら評判が良いと言っても所詮はテレビドラマなんだから、やっぱりこの程度の内容なのだ。一応シーズン2も近いうちに見るつもりでいるのだが、今度はもう少しフラットな気持ちで楽しめるかも知れない。

ショーシャンクの空に を見た

1994年公開の映画、ショーシャンクの空に を見た。

この作品はどこが面白いかというのを説明するのが難しいが、多くの人が認める作品にふさわしい魅力がある。刑務所という閉ざされた世界に濃縮された人生、教養ある紳士のささやかなサクセスストーリー、そして友情と冒険譚。およそ映画に求められる要素が澄んだスープのように溶け込んでいる。決してごった煮の濃いスープではない。足りないのは恋愛要素くらいか。

この作品で一番心に残るシーンはブルックス・ヘイトレンが50年以上も刑務所で過ごした後に釈放されて、社会に適応できずに壁に「BROOKS WAS HERE(ブルックス参上)」と刻んで首を吊るシーンである。長い刑務所生活で自由の象徴である鳥を友人として過ごしてきた彼が、自分自身の自由を得た途端に社会の変化について行けずに生きていけなくなってしまう描写はとても心に突き刺さる。具体的に何かが考えさせられるわけではないが、どうしてか忘れられなくなるシーンなのだ。またジェームズ・ホイットモア氏の演技もいい。

でもこういう作品は観る人を選ぶ(より正確にはその時の精神状態を選ぶ)だろうから、へたに友人に勧めることはできないなあ。