ショーシャンクの空に を見た

1994年公開の映画、ショーシャンクの空に を見た。

この作品はどこが面白いかというのを説明するのが難しいが、多くの人が認める作品にふさわしい魅力がある。刑務所という閉ざされた世界に濃縮された人生、教養ある紳士のささやかなサクセスストーリー、そして友情と冒険譚。およそ映画に求められる要素が澄んだスープのように溶け込んでいる。決してごった煮の濃いスープではない。足りないのは恋愛要素くらいか。

この作品で一番心に残るシーンはブルックス・ヘイトレンが50年以上も刑務所で過ごした後に釈放されて、社会に適応できずに壁に「BROOKS WAS HERE(ブルックス参上)」と刻んで首を吊るシーンである。長い刑務所生活で自由の象徴である鳥を友人として過ごしてきた彼が、自分自身の自由を得た途端に社会の変化について行けずに生きていけなくなってしまう描写はとても心に突き刺さる。具体的に何かが考えさせられるわけではないが、どうしてか忘れられなくなるシーンなのだ。またジェームズ・ホイットモア氏の演技もいい。

でもこういう作品は観る人を選ぶ(より正確にはその時の精神状態を選ぶ)だろうから、へたに友人に勧めることはできないなあ。