羊たちの沈黙を見た

久しぶりに羊たちの沈黙を見た。

なんといってもこの作品はレクター博士を演じるアンソニー・ホプキンスとクラリス捜査官を演じるジョディ・フォスターの主役二人の演技がすばらしい。それぞれ第64回アカデミー主演男優・女優賞を取っているが、彼らの名演なくしてはこの作品の持つ緊張感は生まれなかったろう。

この作品が与えた影響は日本でも大きくて、近年の刑事ドラマなどでの当たり前のように使用される「プロファイリング」はこの作品のヒットによって日本のドラマや漫画作品でも使われるようになった。なお日本の捜査機関がプロファイリングの研究に着手したのが、1988年の宮崎勤事件の後で、この映画の公開が1991年、科学警察研究所と科学捜査研究所の有志が集まり「プロファイリング研究会」が組織されたのが1995年、初めての公式の部署として北海道警察署に特異犯罪情報分析班が設置されたのが2000年と考えれば、この作品がドラマ等だけでなく日本の捜査機関にもある程度の影響を与えたと考えるのは過大評価だろうか。もちろん映画の中のレクター博士みたいに超能力のように犯人を言い当てることが無理なのはもちろん解っていただろうが、この映画のヒットによってプロファイリングという捜査手法に以前より増して興味を持った警察官僚は少なからずいたと私は思う。