攻殻機動隊 Or should I?

久しぶりに 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX のアニメを観た。

この作品も来年で公開10年になるという事でいろいろと時代を感じる表現が多くなってきた。昔の子供向け雑誌にあったような「~年後の未来はこうなる」的な未来想像図の古臭さのような部分は確かに感じる。これはある意味SF作品の宿命なので致し方ないが、それでもまだまだ面白くみれるという所はすごいと思う。だが久しぶりに見て、ちょっと気になる部分があったのでここで書いて見る。

笑い男が授産施設のロッカー?に落書きしたサリンジャーのライ麦畑で捕まえてをもじった文、”I thought what I’d do was, I’d pretend I was one of those deaf-mutes or should I ?” の部分だ。日本語でのトグサの解釈は、「僕は耳と目を閉じ口をつぐんだ人間になろうと考えたんだ。だが、ならざるべきか?」となっているのだが、「ならざるべきか?」なら “Or shouldn’t I ?” の方が解りやすくないだろうか。もちろん私は文法がどうのだのと堅苦しい事をいうつもりは無い、無いのだがやたら解りにくい表現になっている事は確かだ。

ネットで海外のネイティブによるトランスレーションを調べると、トグサのセリフにあえて “Or shouldn’t I ?” と画面の文字とは別の訳をあてている人もいる。地の文を素直に訳すと、「僕は耳と目を閉じ口をつぐんだ人間になろうと考えたんだ。だが、なるべきなのか?」となる。これを反語的に解釈すれば文の大意として笑い男の自問である事には変わりはなく、「ならざるべきか?」と訳しても間違いでは無いと思う。おそらく英文を考えた人が文学的表現にこだわった結果やたら解りにくい文になったのでは無いだろうか。私とて名作の名文に手を加えるとなれば、小難しい表現を使いたくなるかも知れない。

いずれにせよこの事でこの作品の面白さが減るわけでは無い。久しぶりに観てこういう発見をするのも一つの楽しみだと思って色々と考えてみただけだ。