未来日記 9~10巻を読んだ

未来日記の9巻と10巻を読んだ。

物語もそろそろ佳境に入ってきたという感じ。作者がこれまでに広げてきた風呂敷をどうやって畳むかが楽しみだ。まあ作中には矛盾も多いのであんまり細かい事を言ってたら楽しめないかもしれないが…

お話としては相変わらず中二病全開な感じで読んでて若干ツラくなる時があったが、あんまり小難しい理屈をこねるキャラがいないせいか不快という程でも無い。ここで世をすねてどっかで聞いたような独自の哲学とか語りだすキャラがでてくるとマジ勘弁してくれと思うのだが、そういうのが無いのはありがたい。なんか世界の未来とか大勢の生命がかかってる割には、なぜか「子供のゲーム」という雰囲気があるので凄惨な感じがしないのもいい。この辺作者は上手くバランスとって描いていると思う。まあ読者層を考えれば血の匂いがするような殺し合いを描いたらさすがにひかれるんだろう。逆に言うとこの作品の死体からは血の匂いはしない。変な表現になるが「気楽に読める殺し合い」って感じだ。時代劇のチャンバラみたいなものだと言えばわかりやすいだろうか。

鋼の錬金術師 27巻(最終巻)を読んだ

鋼の錬金術師の27巻(最終巻)を読んだ。

この作品も結構長い事連載していたがようやく終わったという感じだ。でもキャラの人数とか敵の強さとか飽和する前のいいところで話を終えたと思う。これがジャンプだったら途中に錬金術同士の腕試し大会なんかをはさんで50巻くらいまで連載しているはずだ。

ただやっぱり最後のボスというかホムンクルス本体が登場時の設定だけ強いザコボスみたいな感じが残念だった。エドワードに素手で殴られているし(笑)。まあホムンクルスを倒した後の物語のひきは結構よかったんじゃないかな。それぞれが自分の居場所を見つけたり帰って行ったりして、さわやかな読後感が残った。この辺は無難な少年漫画のエンディングという感じだが作者の次回作をまた読みたくなる気持ちにさせられた。

いずれまた時間をみつけて1巻から最後まで通して読みたいと思う。

闇金ウシジマくん 16~20巻を読んだ

闇金ウシジマくんの16~20巻を読んだ。

相変わらずエグいというかエゲツない描写の多い作品ではあるが、それだに妙にリアルな感じがある。もちろん漫画なので現実の闇金はまた違った感じなのだろうと思うが、現実の他人よりも妙にリアルな登場人物たちがこの作品の魅力なんじゃないかと思う。

さてお話はというと楽園くん編の途中から最後までと、ヤミ金くん編の全編、そしてトレンディーくん編のさわり部分を読んだ事になる。なかでもヤミ金くん編には丑嶋社長の過去の知り合いや友人がでてきて彼の人となりが垣間見れたりももする。中でもほとんど悟ったような善人の竹本の存在はこの作品でもかなり異色だろう。

もちろん人が善いだけの竹本は最後には丑嶋よってどん底まで落とされるのだが、それで堪えているようには見えないある意味最強キャラである。そりゃ痛めつければ痛がったり苦しがったりするのだろうが、他の登場人物と比べて現実感が感じられないので彼が苦しんでいる所が想像できないという感じである。よく作者がこんなキャラを出そうとしたものだと感心すらしてしまう。たまには善人でも出してみようかと思ってだしたにしては、この作品では個性が強烈すぎるのだ。もうちょっとナチュラルな「いいやつ」にはならなかったんだろうか…

ホムンクルス 14巻を読んだ

山本英夫による漫画、ホムンクルスの14巻を読んだ。

なんかどんどんよく解らない方向へ話しが進んでいくなあ。結局主人公は内面に闇というか心の傷を持っているというのは解るんだけど、あまりにも陳腐でチープな方向へ話しが進んでいるように思えてならない。この作品の当初のコンセプトというかある種の衝撃がどんどんしぼんでいって尻つぼみになっていく感じがする。

あと妙にセンスが古いというか、90年代ハリウッドのサイコホラーの匂いがするというか、あんまり感情移入できないまま登場人物の内面を垂れ流されて胸焼けがしてきそうな感じがする。山本英夫氏の作品はこれまでも多少古臭い人物描写が見受けられたが今作ではそれが一層倍加されているような気がする。

15巻が最終巻という事なのでむしろありがたいというか、どんな結末なのか気になるよりもようやく終わって安心という感じだ。

それでも町は廻っている 8巻を読んだ

ついこの間テレビアニメの放送が終わったばかりだが、それでも町は廻っているの8巻を読んだ。

なんていうか、こういう肩の力のいらない気楽に読める作品は好きだ。登場人物は典型的なキャラづけもされておらず、かといってホームドラマほどには没個性でも無い。

8巻のエピソードでどれが特に面白いというわけでは無いのだが、ドングリを使って携帯ゲーム機を探す推理を組み立てる猛の子供とは思えない洞察力には妙に感心させられてしまった。確か子供の頃のこういう考えって計画立てている時にはすごく完璧に思えるのに、実際にやってみるとまったく予想と違った結果になる事が多かったような気がする。

なんにしろ9巻が楽しみ…ってほどには楽しみにしてるわけでもないが、9巻がでたら多分読むんだろうなあ。

荒川アンダーザブリッジ 1巻~11巻を読んだ

テレビアニメ第一期第二期を見たのに引き続き、荒川アンダーザブリッジの漫画 1巻~11巻を読んだ。

正直なところわざわざ漫画で見るまでも無かったような気がする。十分に面白いのだがアニメの再現率が高かった事もあって、漫画でもう一度読む理由がそれほどなかったからだ。ただアニメ化されてない細かいエピソードもちらほらあったので、その点は良かったかも知れない。

しかし単行本を読み進めていくうちに例によって無駄なシリアス展開が続いて、その部分は面白くない。ギャグ漫画だからたまのシリアス展開もいいだろうと思うのだが、この作品の場合無駄に力が入っていて白ける。そもそも河川敷の住人はミステリアスでありながらも細かいことにこだわらないおおらかな性格が魅力だと思うのに、わざわざシリアスを入れる事によってその良さをぶち壊しにしている。まるで手品の種明かしを無理やり見させられているような気持ちになるのだ。ギャグのセンスはとても素晴らしいのに野暮な作者だと思う。

脇役キャラとして本当はSF漫画を描きたい萌え漫画家が登場するが、あれって作者の代弁者なんだろうか。いずれにせよシリアスを描きたいとしたら他の作品でやってもらいたい。特に金星行きの回の後しばらくはキャラクターがとっちらかっててギャグの冴えも見えなかった。ロケットに乗ったのが高井とリクの二人ってオチは相当笑えたんだけどね。

いろいろと批判的な事は書いたがやはりこの作者はギャグに関しては他にはあまり見られない部分があると思うので、できればギャグとしてこの作品をかき上げて欲しいと思う。稲中卓球部の古谷実みたいにギャグはギャグ、シリアスはシリアスでその才能をぶつけたもらいたいものだ。

イヴの時間を見た

イヴの時間の劇場版アニメを見た。

SFとしては結構ありがちな、人型汎用アンドロイドが実用化されて人間と機械の区別をめぐって社会問題がどうのこうのという話を独自の切り口で描いた作品である。

「人間とロボットを区別しない」というルールがある喫茶店に訪れるアンドロイドと人間の交流を描き、人間あるいは人間関係とは何なのかをあらためて問い直される様な気持ちにさせられる。まだまだ実用化は遠いとはいえ、人型のロボットが決して夢物語とはいえない現代においてたびたびこういう問いかけは必要であり、面白いと思う。

ただし考えてみれば、人間社会における汎用性を確保するためといっても人と見間違うほどに人間に似せる必要は本来無いはずだ。人間とロボットの混同を毛嫌いするならなおさらであり、まさか人型以外に汎用ロボットが開発されてないなんて事もないだろう。たぶん人型のロボットを使用する人は、単純にそういうのが好きだから使うという感じになるのでは無いだろうか。人型で無いと冷たい感じがして嫌だとかそういう発想である。

また個人的にはロボットに愛情を注ぐのと、ペットに愛情を注ぐ事の違いがよく解らない。前者は無機物であり、後者は生物であるが、倫理的にどうこうと言い出したらいつまでたっても決着が付かないように思える。ただし感覚的にペットを家族として扱う事はOKでも、ペットとの恋愛はあり得ないと感じるように、ロボットとの恋愛には抵抗を感じる人も多いかも知れない。おそらく医療目的も含めて性交が可能なロボットが開発されるのもそう遠くない事だと思うが、性的な事=汚らわしい と単純に変換されるような人達が多いと大きな社会問題になるだろう。

まあこの手の話はいくら考えても結論がでる事なんて無いか。実際に色々問題も起こるだろうが、結局なるようにしかならない様な気がする。

えむの王国を読んだ

中平凱の四コマ漫画、えむの王国を読んだ。

タイトルから大体想像できるように、国民が全てマゾという国の10歳のお姫様のお話である。自分はどちらかというとS気質だが、10歳のお姫様がいたら大抵のロリコンはマゾに目覚めるんじゃないかと正直思う。

という訳でこの作品はタイトルがほとんど全てを物語っている。老若男女すべからくマゾな国では皆がノーマルな人間である姫にお仕置きされたいと願っており、唯一まともな姫が彼らに突っ込みを入れるというのが大抵の流れだ。

作品途中からえすの王国やら百合の王国やら薔薇の王国といったこれまた変態ぞろいの近隣諸国が登場してなにやら陰謀が展開されるが、はっきり言って無駄に登場人物が増えて作者が処理しきれていない。もともと思いつきで始めたような作品なので、ネタが尽きる度にキャラや設定を増やしていってそれほど長くないうちに破綻するという、すがすがしいまでに見事な展開を見せてくれる。逆にこんな作品が10巻や20巻の長編になったらそっちの方が怖い。

個人的には2巻くらいでよかったと思うのだが、全3巻という事で気楽に読むにはちょうど良いと思う。

みつどもえを見た

現在第ニ期アニメが放送中であるが、みつどもえの第一期アニメを見た。

主要キャラが小学生女児だからと言ってこの作品にロリ萌えを期待してはいけない。基本はお馬鹿なナンセンスギャグ中心の作品だからだ。

ただそういう期待を持たずに単純にギャグ作品として見ると割と面白いと思う。現実の小学生よりもかなりデフォルメされているとはいえ、自分も小学生の頃は割と馬鹿な事を真剣に考えていたりしたものだ。そういうキャラクター達が集まってちょっと常識はずれの三つ子三姉妹を中心にストーリーが展開する。何も考えずに気楽に見るにはちょうど良い作品だと思う。

ただ余計な事かも知れないがDVDや関連グッズはあんまり売れないような気がする。自分としても原作漫画を買ってまで読みたいとまでは思わない。第二期アニメも見るつもりではいるが、気楽に見れてしまうという作風ってセールス的にはどうなんだろうか。

屍鬼を見た

屍鬼(しき)のアニメを見た。

ネタバレとかそういうのを考慮せずに言えばぶっちゃけ吸血鬼のお話である。ただ舞台が都会から切り離された日本の村落という点に面白みがあるだろう。

話の最重要テーマである屍鬼だがほとんど一般的な吸血鬼と変わった部分は無い。むしろ我々が思い描く吸血鬼よりも弱く、そして頭も悪い。なにしろ普通の人間に対するアドバンテージは多少人間よりも体が丈夫というだけで、力が強いわけでもなく、飢えれば死ぬし、太陽には弱いし、呪術にも弱い。実際村人に正体がばれたらあっとういまに狩り尽くされている。そんな脆弱な集団を率いているのに関わらずリーダー各の吸血鬼たちは正体がばれる事に対して危機感が希薄だ。

「沙子は最後の詰めが難しいと言うけどね」…。詰めどころではなく、圧倒的に戦力が足りないので計画が最初から破綻しているのだ。せめて正体をさぐるような人物がいたら決して敵対しないように直ちに火葬して葬るくらいの事をすべきだと思う。屍鬼たちのボスであり、一応慎重だと描写がされる沙子でさえこれほど呑気なのだ。バカな王様に従わなければならない一般の屍鬼たちが哀れにさえ思えてくる。せめて彼らのうち何人かが主人を見捨てて生き延びていないかと期待してしまうほどだ。だが生き延びたのは呑気なバカ殿の沙子と自己中な坊主だけという理不尽な結末が待っていた。

まあ沙子にも同情の余地がある、普通の人間ならば耐えられない境遇に翻弄されて、まともな知識も経験を得る機会も与えられなかったのだ。そして生きるためならば何をしてもいいのだという結論を得ながらも罪の意識に苦悩している。100年以上も生きているのに中二病ですかと問い詰めたくなるが、見た目がかわいらしい少女なので許そう。お話の流れは彼女の心よりもシンプルで、生きるために人を殺す沙子たちを、村の人々は自分たちが生きるために殺す。そしてより力の強いものが生き残るというまったくフェアな結末が待っている。

そういう感じなので、尾崎先生や夏野が屍鬼の正体を探っている段階が一番面白く、屍鬼の正体がばれた後はグロ描写と屍鬼たちの意外な脆弱さで衝撃的ではあるが面白さは半減したように思う。普段はおとなしい村人たちが暴徒と化して屍鬼たちを狩る描写はある意味この作品のキモなんだと思うのだが、それよりも屍鬼たちのあっけない程のふがいなさの方が気になって感情移入がしずらかった。というよりほとんど抵抗らしい抵抗をしておらず、逃げようとする者達すらほとんどいないくらいなのである。この辺をもうちょっと丁寧に描いてくれたらかなり面白い作品となっていただろうと思うだけに残念だ。