ホムンクルス 15巻を読んだ

ようやく完結かという感じだが、ホムンクルスの15巻(最終巻)を読んだ。

この作品はトレパネーションとか、人の心の内面や深層心理が見えるといった当初の設定はとてもよかったものの、最終的にはその設定をもてあましてまとまりがつかなかった感じである。

15巻以前から後半かなり長いことかけて主人公の内面を描写しているのだが、それがあまりにもありがちで陳腐すぎて読むに耐えない。どうせ展開は読めるんだからもう少し短くまとめて欲しかった。ちなみにありがちというのは主人公の心理や内面世界の話であって、漫画の作画上の表現はとてもユニークである。しかしそのユニークな表現が上滑りしているというか、物語の筋だけを小説的に読んだ場合に受ける印象があまりにも軽すぎて、作者の悪い冗談にしか思えないのだ。なにやら哲学的な意味とかあるのかも知れないが、どうせそれもありがちなものだろう。

個人的には山本英夫という漫画家は好きだったのだが、この作品でこの人の限界が露呈したような気がしてとても残念である。当初の期待ではもっと人間の心の奥底に踏み込んだ物語を期待したのだが、奥底というよりテレビドラマで使い古された上っ面のヒューマンドラマになってしまった。