イヴの時間を見た

イヴの時間の劇場版アニメを見た。

SFとしては結構ありがちな、人型汎用アンドロイドが実用化されて人間と機械の区別をめぐって社会問題がどうのこうのという話を独自の切り口で描いた作品である。

「人間とロボットを区別しない」というルールがある喫茶店に訪れるアンドロイドと人間の交流を描き、人間あるいは人間関係とは何なのかをあらためて問い直される様な気持ちにさせられる。まだまだ実用化は遠いとはいえ、人型のロボットが決して夢物語とはいえない現代においてたびたびこういう問いかけは必要であり、面白いと思う。

ただし考えてみれば、人間社会における汎用性を確保するためといっても人と見間違うほどに人間に似せる必要は本来無いはずだ。人間とロボットの混同を毛嫌いするならなおさらであり、まさか人型以外に汎用ロボットが開発されてないなんて事もないだろう。たぶん人型のロボットを使用する人は、単純にそういうのが好きだから使うという感じになるのでは無いだろうか。人型で無いと冷たい感じがして嫌だとかそういう発想である。

また個人的にはロボットに愛情を注ぐのと、ペットに愛情を注ぐ事の違いがよく解らない。前者は無機物であり、後者は生物であるが、倫理的にどうこうと言い出したらいつまでたっても決着が付かないように思える。ただし感覚的にペットを家族として扱う事はOKでも、ペットとの恋愛はあり得ないと感じるように、ロボットとの恋愛には抵抗を感じる人も多いかも知れない。おそらく医療目的も含めて性交が可能なロボットが開発されるのもそう遠くない事だと思うが、性的な事=汚らわしい と単純に変換されるような人達が多いと大きな社会問題になるだろう。

まあこの手の話はいくら考えても結論がでる事なんて無いか。実際に色々問題も起こるだろうが、結局なるようにしかならない様な気がする。