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ダンタリアンの書架を観た感想

去年の作品なのだが、「ダンタリアンの書架」を観た。

ちょうとこのアニメがテレビで放送されていた頃に観た、GOSICK -ゴシック-に似たような感じの作品だった。特に舞台が近代ヨーロッパらしい所とか、ヒロインが口は悪いが(おそらく設定としては)知性ある小さなゴスロリ少女である所とか、主人公がその少女に振り回される誠実な少年・青年である所とか雰囲気はかなり似ていた。明確な違いといえば GOSICK がオカルトのテイストを持ちながらもあくまで科学的な推理を行うのに対し、こちらは本を使って魔術を行使するという所だ。

手短に感想をいえば、あまり面白くはなかった。別に作品が悪いという訳でもないのだが、ヒロインや主人公といったキャラクターがあまり好きにはなれなかったからだ。ダリアンからは話し方などの上辺の設定上はともかく実質的な知性というものが感じられず、可愛らしいどころか単なる我がままで鬱陶しい子供という印象しか持てなかったし、主人公も人が良いだけが取り得のお人好しで、この二人が遭遇するドラマの全てがどうでも良く思えてしまう。

好きな人は好きなんだろうけど、個人的にはキャラクターの性格をもうちょっとありきたりで無いものにして欲しかったかな。

人類は衰退しました を観た感想

テレビアニメ、「人類は衰退しました」を観た。

まずなかなか興味を誘うタイトルなので、そこから想像するによくある人類が滅亡しかけている未来の世界を描くSF作品なんだと思っていたら、SFの皮をかぶったファンタジー作品だった。いや人類が滅亡しかかっている未来という設定には違いないのだが、その人類の代わりに繁栄している新人類が「妖精さん」と呼ばれる謎の生物だからだ。なので純然たるファンタジーとも言えないのだが、舞台背景の設定はともかく作品全体をつつむテイストとしてはSFというよりはファンタジーの方が近いと思われる。

そんなちょっと変わった舞台の設定に興味を惹かれてしまったら、次はその「妖精さん」達のかわいらしさにやられる事になる。妖精さん達のかわいらしさとは、まず「おバカ」である。楽しい事と甘いお菓子が大好きで、それだけで幸せなのである。次に「たくさん」である。楽しい事さえあればどんどん増える。最後に「災害」である。大勢に増えた妖精さん達はその高度な技術力でトラブルを起こす。しかしその災害は深刻な被害をもたらすという訳ではなく、主人公の「わたし」やその周囲の人間を多少翻弄する程度ですむ。

まあそんな、下手をすれば日曜の朝に放送しているような子供向けのファンタジー作品のようでありながら、軽く風刺の聞いた毒舌的なセリフなどによって、大人でも楽しめる作品に上手くしあがっている。

お決まりのパターンがすでに形成されて久しいライトノベル原作のアニメ作品の中で、なかなかに異彩を放つ実に面白い作品だったと思う。特に重要なストーリも無いので気楽に観れるという所も良く、第2期があればぜひまた観たいと思わせる良作だった。

さんかれあ を観た感想

テレビアニメ、「さんかれあ 」を観た。

まったく度を超えた変態の多い作品だった。

まず主人公がゾンビフェチである。ゾンビ映画が好きというレベルに留まらず、ゾンビ以外にまったく興味がなくあまつさえゾンビ少女との恋愛を妄想するという変態っぷりにまず度肝を抜かれた。全体を通してコメディタッチに描かれているので吐き気をもよおすという程ではなく、こういうキャラは嫌いじゃあない。ただしこういうのが増えすぎてもつまらなくなってしまうが。

次にヒロインの父親である。娘を溺愛し束縛している。それだけなら厳しい父親のレベルなのだが、娘の誕生日に毎年ヌードを撮影し、娘に近づく自分以外の人間を徹底的に排除する。自分自身はそれを父性愛だと思っているみたいだが、どうみても度を超えたド変態である。主人公の変態性に比べればリアリティがあるため、こちらは見ていて少々気分が悪くなるような種類の変態でもある。ただあくまで本人は真剣なので、自分が変態だとまったく思ってないところにわずかに救いがあるだろうか。

最後にヒロインである。このヒロインは一見するとおとなしく礼儀の正しいお嬢様に見えるが、この父親に育てられてこんな感じに仕上がっている事がそもそもおかしい。それでいて唯一の願いが「普通の女の子になりたい」だなんてよく考えるとかなり気持ちが悪い。常識をかなり逸脱した主人公の嗜好や、愛猫を蘇生させようしている事など何の躊躇もなくすぐに受け入れてしまう。純粋培養ゆえの無知か、中学生くらいになるまでこの父親になんの疑問も感じてなかった節があるのに、父親が余所とは違うと知った途端に反抗期を迎え、追い詰められると簡単に死を選んで毒を飲む。その結果として自分がゾンビになってしまった事も、いずれ自分の肉体が腐って滅ぶという事もこれまた簡単に受け入れてしまう。ド変態の主人公と父親に対して常識的なヒロインという対比を際立たせる設定のためか、個人的にはこのヒロインが一番狂っている印象を受けた。主人公や父親は変態ながらも行動や思考に一貫性があるが、このヒロインにはそれが無いからだ。異常なほどに順応性の高い、人間味の乏しい薄ら寒くなるような性格。別に冷酷であるとか無表情というのではない。作品の内容にからめて言えば、「この女、肉体がゾンビになる前から、精神的にはゾンビだったんじゃね?」ってな感じだ。きっと炎で焼かれても笑いながら死んでいくんだろう。

そして作品全体の感想としては、このあまりにも個性的な三人のキャラクターのおかげで結構楽しめた。原作漫画の連載が終了したら、いずれ単行本を揃えて結末を読んでみたいという気持ちにはさせられた。

あの夏で待ってるを観た感想

テレビアニメ、「あの夏で待ってる」を観た。

なんとなく観る前は「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」と同じ系統の作品かなというイメージを持っていたが、実際に観てみたらまったく似て非なる作品だった。

まず高校生の男女数人グループが複雑な恋愛模様を繰り広げるという点において両作品は共通しているのだが、この作品の人間関係はかなり安直である。主人公が宇宙からやってきた異星人の少女に恋をするのは良いとしても、その主人公に恋をするクラスメートの女子、その女子に片思いをする主人公の親友、その親友に恋をするその女子の親友と、一方通行の恋愛がただ単純に連鎖しているのだ。いったいいつの時代の少女漫画だと言いたくなるようなこの恋愛模様の安直さがまず気になった。そして人間関係が安直だからそれぞれの恋をする理由も安直で、主人公の親友を除いて全員がほぼ一目惚れで相手に恋をしている。まったくひどい設定の手抜きである。

他にドラマといえばやはりヒロインが宇宙人だと言う事なのだが、そのせいでいずれヒロインが地球から去らねばならなくなる点など、やはり使い古された設定が気になっていまいちストーリーに引き込まれるという部分が少なかった。良くいえば王道、悪く言えばセンスが古い。もはや少女漫画ですらなく、まるでお伽話である。

なので感情移入もしずらく、ノスタルジーもまったく感じない。唯一面白かったのは、檸檬先輩とかいう田村ゆかり演じる謎の少女の渋いキャラ設定だけだった。

全体的な感想としては別につまらないという程でもなかったが、ストーリーにあまりひねりが無いので全12話が少々長く感じた。半分の全6話くらいにまとめてくれれば名作といえずとも娯楽としては良い作品だったと思う。「あの花」を観た時に、全11話が短く感じたのとは真逆の感想である。

織田信奈の野望を観た感想

少々遅ればせながら織田信奈の野望というアニメを観た。

タイトルから容易に想像できると思うが、戦国時代の主要な大名や武将たちが美少女化している世界に現代の男子学生がタイプスリップしてハーレム状態でウハウハ、というコンセプトの作品である。

まあ粗製濫造のハーレムアニメなのだが、その割り切りっぷりがむしろ心地良いと思える作品だった。アニメはあくまで娯楽として気楽に観たい私としては、リアリティとか考えさせられる内容とかは邪魔だと常々思っているので、日本史という先の読める展開の中にハーレム作品のお約束展開を散りばめたこの作品はとても安心して見る事ができた。特に主人公の周囲や配下に幼女が何人も揃ってるところが、あからさま過ぎてもう逆に嬉しい。そしてたまに歴史好きでなければ知らないようなエピソードのパロディなんかがあったりすると思わずニヤリとしてしまう。

一応言っておくと、こういう作品で史実とかと比べてリアリティを云々するのは野暮だと思う。そんな事を言い出したら時代劇とか大河ドラマとかはどうなるんだと小一時間(ry。むしろ誰が見てもフィクションのこの作品に比べれば、大河ドラマなんて下手したら史実だと信じてしまう人もいるんじゃないかな。

ただ唯一ケチをつけるとしたらヒロインである所の織田信奈と主人公の性格がいちいち女々しくてイライラさせられる所だろうか。特に信奈はラノベのヒロインという点を差し引いても依存心が強すぎてウザかった。

最後はなにやら武田信玄らしき人物がでてきて終わったけどそのうち第2期をやるのかな? 2期を心待ちにして待つほどの作品だとは思わないけどたぶん2期があればまた観るだろうと思う。

コクリコ坂から を見た感想

少々遅ればせながら、スタジオジブリのアニメ映画作品「コクリコ坂から」を見た

舞台は戦後、これから復興期を迎えようとしている日本のとある港町。1963年の5月というから東京オリンピックの前年、新安保反対の学生運動の残り火がまだくすぶっていたり、ベトナム戦争やキューバ危機といった米ソの冷戦がにわかに熱を帯び始めていたような時代の話である。

とはいうものの、そんなきな臭い時代の暗部には触れることなく、昭和のノスタルジックな街並みと共に清らかにストーリーは進行する。大人はみんな良い大人で、子供はみんな良い子供。アニメだからだろうか、小さなお子さんにも苦くないように昭和をオブラートに包んで描いたような作品である。

そんな作品なので物語にはまったくと言っていいほどドラマが無い。文化部学生によるカルチェラタンの取り壊し反対運動を除けば、恋の相手が血の繋がった兄妹ではないかとの疑惑があった程度である。調べてみるとカルチェラタンについては映画オリジナルの設定らしく、ここは脚本担当の宮崎駿が学生運動世代だからだろうか、かなり強引に付け足したような感が否めない。血のつながり云々については少女漫画じゃあるまいし、と思っていたらなんと原作は「なかよし」で連載されていた少女漫画らしい。

とここまで調べて納得が言った。映像についてはノスタルジックな街並みの美しさなどには目を奪われるものの、肝心のストーリーについてまったく共感できず、はっきり言えば「どうでもいい」のだ。

学生運動世代ではないので、カルチェラタンの件にも共感できない。安っぽい少女漫画みたいな恋愛の設定にはさらに共感できない。別に駄作とまで言うつもりはないが、せっかくジブリの優秀なスタッフを使って映画を作るのに、こんな手抜きのストーリーで良いのかと言いたいのだ。「もったいない」は日本の美徳ではないのか。ああもったいない、もったいない。別にこんな作品があってもいい。でもやるなら余所でやれ。あと宮崎駿は監督をやらないなら余計な口を出すな。

う~ん、ジブリを見て育った世代なのでこれを言うのはつらいのだが、もうジブリの作品に期待するのは無理な注文なのかも知れない。

男子高校生の日常 1巻~6巻を読んだ感想

最近とある事情から、ガンガンONLINEというWEBコミックをたまに読むようになった。

その中でかなり面白いと思えたのがこの男子高校生の日常という作品だ。つい最近アニメ化もされたので知っている人は多いと思うが、私は知らなかった。上述のガンガンONLINEもそうだが粗製濫造なテンプレート萌え漫画が多いWEBコミックにはこれまでまったく興味がなかった私だが、この男子高校生の日常はギャグ漫画で、それもかなりツボにはまる。私が気に入ったのはこれまたネットでは結構有名だった文学少女シリーズで、ファンタジックなラブコメ的出会いを妄想する黒髪の少女と、それを見ぬいた上で恥ずかしいと思いながらも彼女に合わせるヨシタケのやりとりがものすごく笑える。

他にも見た目は不良っぽいのに中身は良い人過ぎて、生徒や教師からついには他校の生徒からも便利屋みたいに頼られる唐沢やモトハルや副会長たちがすっごく面白い。タイトルからは男子高校生な赤裸々な学園生活を描いた作品のように思えるが、登場する男子高校生はみんなおバカだが良いやつばかりで、全員彼女が欲しいと思っていながら女性にはとことん奥手である。どちらかといえば男子小学生たちの日常といった感じだ。

またスピンオフ作品として、こちらは逆にかなり凶暴な女子高生たちが登場する女子高生は異常という漫画も収録されている。こちらも内面的におバカで決して人は悪くないのだが、口は悪くて喧嘩っ早い女子高生たちが活躍する。まあ最近の女子高生の日常を描いた萌え漫画が多すぎるので、それを踏まえて皮肉的に読むと結構面白い。ただちょっとネタ切れ気味なのか後半はあまり話に勢いがなくなってきているような気がする。

WEBコミックの作品がアニメ化されるというのは非常に珍しい事みたいで、ガンガンONLINEのページではいまこの作品がこれでもかとプッシュされている。WEBコミックでこの手のギャグ漫画が増えてくれると嬉しい。

惡の華 1~5巻を読んだ感想

押見修造による漫画作品、惡の華の1巻から5巻までを読んだ。

単行本の表紙にデカデカと「クソムシが」の文字(笑)。大方の予想どおり気弱な主人公が、風変わりでサドッ気のある女の子に弱みを握られて変態的な事をさせられる、思春期にとりとめて良い思い出のない非モテ男感涙のちょいエロ作品、というと身も蓋もないだろうか。最近こういう作品が増えたような気がする。

作者の言葉として「変態とはなんだ」みたいなちょいとばかり高尚な問いかけがあるが、個人的な感想としては主人公の高男も、高男を振り回す佐和も別に変態ではない。やってる事は表面上確かに変態じみているが、根っこにあるのは盗んだバイクで走りだすヤンキーとなんら変わらない。クラスの女子全員の下着を盗んだりするのも性的興奮を得るためではなく、人とは違う何か、それでいてみんなの注目を集めたくてやっているだけで、そんな事を「向こう側」とか言っちゃってはっきり言って痛々しい。自分を変態だと決め付けることで、自己否定から入り、今度は自分の特異性を認めない周囲を否定する事によって、屈折した形で自己肯定をしているだけにしか見えない。

だがその痛々しさこそがこの作品の特筆すべき点で、こういう思春期特有の痛々しさをここまで見事に描いた作品も稀だと思う。高男と佐和がやるような事は、(下着を盗むとかそういう事ではなく)思春期の人間だったら誰しも考える事だが、一緒にやる友達を見つけられる人間はまずいない。それこそヤンキーが集団で暴走行為をする程度がせきの山で、高男や佐和のような人間がこういう形で道を踏み外すというのは現実世界ではあまりないだろう。面白いのはここまで無茶な事をしながら、高男はいまだに「バレたら破滅」なんて的外れな事を考えている点だ。佐和も「この道の先は全部死んでる」などと言う。つまり二人とも日常を疎んでいながら、完全にそれを破壊する覚悟はできていないという事だ。下着ドロくらいで死刑になるわけでもなし、この後に及んで自分の体面を気にしている証拠だ。

なんだか作品批判のような文になってしまっているが、別に作品を批判したいわけじゃあない。むしろこの作品のような状況に憧れてしまっている自分に我慢がならないのだ。高男と佐和は作中では中学生だから痛々しいという程度で済むが、いい大人の自分がそういうのに憧れるなど悶絶するほど気恥ずかしい。でもまあ、きっと私のような人間は少なくないと思うので、若かりし頃の自分を思い出して悶絶しても構わないという人は読んでみるときっとハマることだろう。

魔法使いの夜 感想

12日の発売から10日、少々遅ればせながら TYPE MOON の魔法使いの夜をプレイした感想などを書いてみる。

今作は同じ TYPE MOON の Fate/stay night みたいな選択肢で分岐するアドベンチャーゲームではなく、淡々と読みすすめるだけのビジュアルノベルとなっている。しかしこの手の同人作品としては一線を画した美麗なグラフィックと、多彩な効果演出が読み手をぐいぐいと引き付けていく。

肝心の物語の描写は第三者視点で特に主人公と呼べるような存在はいないが、魔法使いである蒼崎青子と、文明から切り離された村から青子の学校に転校してきた少年の静希草十郎の二人を中心に話は展開する。しかしこの草十郎もこの手の作品にありがちな、読者が感情移入して読めるように薄い味付けの性格をした優柔不断タイプや熱血正義漢タイプではなく、とんでもなくド天然というかとても面白い性格をしている。現代社会に対する知識の欠如や無欲さからくる言動は、割と濃い目の味付けの性格の多い周囲のキャラを全員ツッコミ役にさせてしまうほどで、感情移入どころか第三者的視点でこいつをもっと見ていたいと思わされた。

そういう学園を舞台にしたオカルティックな群像劇としては非常に面白い作品だと思ったが、Fate/stay night のような特殊能力を用いたバトル作品としてはいまいちといった所だろうか。もとより魔術師がメインシナリオに青子も入れて3人しか登場せず、その青子も破壊に特化した単純な魔術しか使えないという設定なので、魔術師を中心にバトルがあまり盛り上がらない。結局その周囲で奮闘する凡人であるところの草十郎の活躍がクローズアップされる結果となり、それはそれで面白いのだがどこか燃焼不良な印象が残ってしまった。

全体としてはメインシナリオから離れたサブシナリオを含めて結構なボリュームがあったのだが、上記のような理由からいまいち満足感は得られず、それでいながら続きがあれば早く読みたいという気持ちにさせられる作品だった。Wikipediaの記述によるとこの作品は本来3部構成だったそうで、今作はその第1部にあたるらしい。であるならシナリオ担当の奈須氏には第2部・第3部の製作を開始してもらい、なんらかの形でそれを発表してもらいたいと思っている。

彼岸花の咲く夜に 第一夜

ひぐらしやうみねこで有名な 07th Expansion の最新ソフト、彼岸花の咲く夜に 第一夜をプレイした。

これまでと違って一話完結の短編を全7話収録していて、内容は小学校を舞台にいじめの問題を怪談という要素に絡めた描いたファンタジー作品といったところ。私は「ひぐらし」を目明し編の頃から購入している、この作者の比較的長いファンの一人なのだが、「うみねこ」でダラダラと無駄に長い文章を読まされて今後はもう買うのは止めようと思っていた。しかし今回は気軽に読めそうな短編だという事、広げた風呂敷をたためなくなるようなミステリーではなくホラーだという事で、発売から少々遅れたがプレイしてみることにした。

正直な感想としては元もとの期待値が低かったこともあって、まずまずといったところ。物語の構成は相変わらず酷いが、竜騎士07 ならではのサウンドノベルの特色を生かした絶妙なストーリーテリングが光っていると思う。ただフィクションにしてもやりすぎといった感のある陰惨ないじめを描いているので、過去にいじめを受けた経験がある人は不快に思うかも知れない。さらにいじめ描写への批判をかわすためかは知らないが無意味に説教くさい部分も多いので、個人的にはその辺りが鼻についた。

読後感は、満足というわけでもなく不快というわけでもなく、良くも悪くも凡作という印象である。しかし「ひぐらし」で名前を売りすぎて「うみねこ」で盛大にこけたと私は思っているので、今作のようなボクシングでいうジャブ的な作品を継続的に出してくれればこれからも 07th Expansion の作品を買い続けると思う。結論として、「ひぐらし」や「うみねこ」のようにこの作品に過大に期待を持つような人にはおすすめできないが、サウンドノベルが好きで暇だからとりあえず何かプレーしたいという人の選択肢の一つとしては良いのではないかと思う。