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DOG DAYSを観た、ファンタジー設定を逆手にとった良アニメだ

テレビアニメ、DOG DAYS、DOG DAYS'(2期)を観た。

最近私はファンタジー系のアニメをあまり見ない。なぜならファンタジー作品はある種の王道的な設定がすでに固定されていて、基本的にはこれに沿ったものとなるか、それに付け加える形で萌えやギャグを足したものになるかのどちらかでしかないからだ。この DOG DAYS も「アスレチック系のスポーツが得意な男子中学生が、犬耳や猫耳が生えた人々が生活するファンタジー世界に召喚されて勇者として戦う」という王道的な設定が基本となってはいるが、そこから先がちょっと違っていた。

犬耳の種族と猫耳の種族はそれぞれ国家を形成していて戦争をしているが、それはどちらかというとレクリエーションを兼ねた国民参加型のスポーツイベントとなっていて、人が死んだり深刻な怪我をしない事になっている。またその目的も利権や領土の奪い合いというものではなく、戦争に勝ってもせいぜいが集めた資金を多く分配されたり名誉が与えられたりする程度で、負けて恨みが残るという事もない。

こうして書いているとなんて子供だましのご都合主義設定だと思うかも知れないが、むしろ逆に想像力の及ぶ限り設定は自由であるはずのファンタジーでこれまでこういう手合いの作品が無かったのが不思議なくらいである。こうして最初からシリアス要素を排除してくれるおかげで、突然伝説の魔王や魔獣が復活するとかの、ワンパターン過ぎてたいして面白くもないお決まりのシリアス展開を観ないで済む。

こういうほのぼの設定でありながらも、戦闘時のアニメーションのクオリティはなかなか高く、主人公が剣ではなく棒術を使うという事での格闘シーンもこれまたなかなかのものだった。という事で日曜の朝に放映していてもおかしくない作品なのだが、そこは深夜アニメらしく女の子キャラが負けると服が破れる等のソフトなお色気シーンもあり、主人公がモテモテのハーレム展開もある。

すでに第3期アニメの制作が決定しているとのことだが、果たしてどんな展開になる事やら。ただいくらネタに困ったからといって第3期でもシリアス展開だけはしないでもらいたいものだ。

ココロコネクトを観た、一言でいうと「暑苦しい」

テレビアニメ、「ココロコネクト」を観た。

最近、僕は友達が少ないとか中二病でも恋がしたい!とか非リアにスポットを当てた作品のアニメが多かったが、ひさびさの?リア充というか普通の男子女子たちの部活動のお話である。内容も最初のヒトランダムでは部活メンバー同士の人格が入れ替わるというこれまた古典的というかさんざん使い古されたパターンという事で、そこがむしろ新鮮というか最初の方は楽しんで見れたと思う。

しかしそんな風に楽しんで見れたのは最初のヒトランダムの回だけで、その後のキズランダム、カコランダム、ミチランダムと話が続くにつれてある種の違和感が頭から離れなくなる。それは「人間関係が非常に暑苦しい」という事だ。この作品は正体不明の相手によって人格が入れ替わったり、欲望が解放されたりして、隠されていた人の本心が浮き彫りになる事なのだと思うが、残念な事にそれが実に暑苦しい。部活メンバーのお互いに対する依存が強すぎて、友情とか恋愛のレベルを超えてもはやメンヘラの域に達してるようにしか見えないのだ。部活メンバー総メンヘラ状態である。

高校生にとって親しい友人というのは確かに何物にも代えがたい大切なものだろうが、普通はクラス、部活、塾、バイト先、中学時代の友達、などなど複数の人間関係の中で親友というのが決まっていくものだ。それがこのメンバーは演出の関係とはいえ人間関係が内向きに閉じていて、まるで無人島や洋館のミステリーのように逃げ場がない。観ていて「そんなに嫌なら部活辞めればいいじゃん」と何度思ったことか。

冒頭で私は、僕は友達が少ない や 中二病でも恋がしたい! などの非リアとは違う普通の男子女子たちの部活動のお話と言ったが、それはまったくの皮肉で、実際にはそれ以上に非リア臭の漂う作品であった。まあ一言でいえばやっぱり「暑苦しい」という事だ。

ガールズ&パンツァーを観たけど、あんこう踊りって何だよw

テレビアニメ、「ガールズ&パンツァー」を観た。

華道や茶道の様に、主に女子の嗜みとして戦車を操縦して砲撃戦をする「戦車道」という文化が存在する世界のお話。女子に近代兵器というとどうしてもストライクウイッチーズを思い出すがどうやらキャラクター原案に島田フミカネ氏が関わっているようだ。

ただしこちらはパンツが見えたりなどのお色気要素はなく、ファンタジー要素も少なくどちらかというと体育会系の部活動のテイストで描かれている。しかし少々チープながらも3DCGを駆使した戦車戦の描写はなかなかのもので、特に戦車に詳しくなくとも見ていて楽しい。また音楽の素養がある水島努監督のアイデアか軍事オタクのスタッフの趣味か解らないが、敵対チームの登場シーンで流れる各国の民謡や行進曲がなかなか良い雰囲気を出していた。

そして水島監督といえば独特のギャグセンスが私は好きなのだが、作中にほとんど何の脈絡もなく敗戦時の罰ゲームとして「あんこう踊り」なる珍妙な踊りが登場したのには笑ったw なんでもフリつけは水島監督が自ら行ったらしいが、主人公の所属する学園が大洗女子学園なので、実在の大洗町で毎年「大洗あんこう祭」というのが開催される事にかけたギャグなのだと思う。というかこの大洗町ってあれですよね、うる星やつらなんかで押井守監督がよく意味もなく出す「大洗海水浴場」の元ネタの町ですよね? う~ん、どこからがギャグでどこからシリアスなのか解らない。

とにかく当初想像していたよりかなり楽しめる良作アニメだった。まあ第2期が見たいかといえばあまり話の展開も期待できないので別に見なくても良いが、こういう系統の作品がまた出ても良いと思う。戦闘機、戦車ときたので、次はやはり「潜水艦」ですかね。一時期映画でも流行りましたが、緊迫した潜水艦での戦いをぜひアニメでも見てみたい気がします。

猫物語(黒)を観た感想

テレビアニメ、「猫物語(黒)」を観た。

年末年始のこの時期にテレビで放映してくれるとは嬉しいご褒美。内容はすでに原作を読んで知っていたがアニメとして映像で見てもやっぱり面白い。冒頭の月火とのやりとりやブラック羽川の下着姿などファンサービスもばっちり。物語シリーズが好きで見ない人はいないだろうが、万が一見逃したという人も見た方が良い。

傷物語の劇場版アニメは残念ながら公開延期となってしまったが、このシリーズは今後もぜひアニメ化を続けて欲しい。ただグッズ販売を後押しするメインキャラクターはほぼ出尽くしてしまっているので、ブルーレイなどの円盤が売れないと全物語のアニメ化は難しいだろうなあ。

中二病でも恋がしたい!を観た感想

テレビアニメ、「中二病でも恋がしたい!」を観た。

私が最初この作品を知ったときは、「ああまた僕は友達が少ないのような、設定上だけはオタクで非モテな主人公の周囲に訳もなく美少女が集まるハーレムアニメなんだろうな」と思い、そしてそういうのを期待して見たわけだが、予想に反して途中から割りとシリアスな展開をみせる、正統派とはさすがに言えないもののちゃんとしたラブコメディだった。

だがそれだけに私にとっては実に期待はずれのつまらない作品だった

中二病という設定こそ目新しいものの、ヒロインの家庭に問題があるとか、それによって抱えた精神的な傷があるとか、そんなのは安物のラブコメで何度も使い果たされてる設定だ。

そしてそういうシリアスな展開となれば最初の中二病という設定は自ずとかすむ。そもそもこのヒロインは中二病というよりある種の本格的な精神病というべきだろう。最終的にはそういう深い傷とか心の病とかを、考えを改めた主人公たちが「中二病という魔法」を使って癒して、めでたし、めでたし…

ってディズニー映画かよ!!

完全なご都合主義というか、演出された幸福がそこにあるだけで何の説明もないひどい結末だ。家族の愛情では心の傷は癒えなかったが、初めてできた中二病の彼氏のおかげで心の傷は癒えましたってそりゃないだろ。いや恋人が傷を癒すというのは現実ではなくもない事だろうが、フィクションとしてまったく感動ができない。これで感動できる人は「中二病」というキーワードに共感するゆえに後の事はどうでもよくなっているんだと思う。そういう人は中二病エンド以外の終わり方だったら怒りだしているんじゃなかろうか。

ヒロインが主人公に惚れた理由、主人公を見て「自分の気持ちを押し殺して、なんでも言う事聞いている自分より、よっぽど素直でかっこいいなって」思ったとの事だが、

だとするともしも主人公がヤンキーだったら大変なところだった。ちょうど中二病と発症する年齢がかぶる事もあるが、下手をしたら六花はいまごろ金髪のレディースになっていた可能性だってある。家庭に問題を抱えた思春期の女の子が悪い男と知り合って不良になるというのは、現実でもフィクションでもよくある話だ。要するにこの作品から中二病という設定を抜かしてしまえば、それくらい安っぽいドラマしか残らないという事である。

探偵オペラ ミルキィホームズを観た感想

テレビアニメ、「探偵オペラ ミルキィホームズ」を観た。

色々とギャラクシーエンジェルとの共通点があるという事で期待してみたけど、残念ながら期待したほどではなかった。主役の4人組をはじめとしてキャラクターはみんなとても可愛いんだけど、その分アクの強いキャラが居ないのでギャグの切れ味があまり良くない。ただあくまで期待していた程ではなかったというだけで、第1期に関してはそこそこに楽しんで観れたと思う。

それが2期となると、「乳首」と「ラード」のギャグがくどいくらいに繰り返されて、つまらないのを通り越して少し腹が立ってくるほどだった。パロディネタもGAの時はまだ新鮮だったけど、今時はもうやり尽くされている感じであんまり面白くないし。う~ん残念。

ゼロの使い魔Fを観た感想

テレビアニメ、「ゼロの使い魔F」を観た。

ぶっちゃけた感想を言うと、ルイズが相変わらずかわいい以外に見所が無かった。王道ファンタジーと言えば聞こえはいいが、ストーリーの展開にヒネりらしいものがまったく無く、閑話休題的なギャグパートは面白かったがシリアスパートは退屈で見ていられない。

その代わりイチャラブモードに突入した才人とルイズの絡みは面白く、イチャイチャしはじめて才人がルイズを押し倒す → 邪魔が入る、の流れが既にお約束と化していて良かった。最後のアニメシリーズということで一応はシリアス展開を入れて完結させたのだろうが、正直なところを言えば全話ギャグパートのみの方が嬉しかったなあ。

UN-GO (アンゴ)を観た感想

テレビアニメ、「UN-GO (アンゴ)」を観た。

UN-GO (アンゴ)というタイトルは、昭和前期に活躍した小説家・坂口安吾の作品をアレンジしているかららしい。ただこのアレンジとやらがなかなか曲者で、時代を昭和から近未来に変更したり、オカルトやSFといった要素も追加されている。かつてモンテ・クリスト伯の小説を独自の解釈でアレンジした巌窟王というアニメがあったが、系統としては似たようなものだろうか。すでに著作権の有効期限が切れているので原作者にお金を払う必要もないし、独自の解釈をいくら付け加えても原作者から文句を言われる心配もない。それなら最初から完全オリジナルでもいいんじゃないかと思うが、色々と大人の事情ってやつがあるのだろう。

という事で主人公は一応探偵という事にはなっているが物語としては推理モノという感じはあまりない。証拠を集めて理論を構築するという感じではなく、人ならざる相棒・因果の特殊能力で犯人に自ら動機や罪を告白させてしまうからだ。良く言えばいろんなジャンルのいいとこ取りした実験的作品、悪く言えば腐女子狙いのお子様ランチといった所だろう。全11話という短さのためか、設定の上辺だけなぞっただけでストーリーに深みを足すという所まで描く事はできずに終わっているのが残念だった。

御先祖様万々歳!を観た感想

押井守監督による異色のホームドラマアニメ、「御先祖様万々歳!」を観た。

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー、機動警察パトレイバー 劇場版、GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊、などなど日本アニメのみならず世界の映画界にまで少なからぬ影響を与える押井守監督によるオリジナル作品という事で観てみたわけなのだが、期待どおり、いや予想どおりの作品だった。

この作品を素直な気持ちで「面白い」と言える人は映像制作や舞台芸術に携わる玄人だけだろう。それ以外でこの作品を「面白い」と言うのは、私のように、性根がひねくれてしまってもはや素直な気持ちで作品を観ることのできなくなってしまった半可通の素人だ。押井守という監督は「原作という束縛」があってはじめてまともな作品を作ることができる人なのだという事がよくわかった。

ちなみにこの作品を「本当に面白い」と言い張る人は、大学生の演劇サークルのオリジナル作品を見に行けばこんなのばっかりだから楽しめると思う。作品が理屈先行で表現技術が追いつかず、最後にはその理屈さえも破綻してその結果生まれたものを「前衛」だと主張する典型的なパターンである。「面白い」のも評価に値するのも、作品それ自体ではなく、この作品を商品として完成させてしまった会社の経営陣のメンタリティの方だと思う。これだけ好き勝手やったら、作ってる方はさぞかし楽しいだろうよ。

ただこういう作品があるからこそ、それが土壌となって大勢の人々を楽しませる名作が生み出されるのだと思う。「前衛」という言葉そのものの意味で、後に続く作品の露払いとなったと言う点で実にアバンギャルドな作品だった。だからもう一度言おう、この作品を素直な気持ちで「面白い」と言える人は映像制作や舞台芸術に携わる玄人だけだろうと。

じょしらくを観た感想

テレビアニメ、「じょしらく」を観た。

「このアニメは女の子の可愛さをお楽しみ頂くため、邪魔にならない程度の差し障りの無い会話をお楽しみ頂く番組です。」という事らしいが、残念ながら女の子は対して可愛くない上に、会話も特に楽しくなかった。

まず女の子だがキャラデザインはまあ普通のレベルなのだが、性格のキャラづけが薄っぺらいというか大雑把に思えた。同じ原作者の さよなら絶望先生 のように、各キャラに一つづつ少々常軌を逸した個性的なキャラづけがなされているのだが、このやり方は10人以上の女の子キャラが登場する絶望先生で通用してもメインキャラが5人しか居ない今作じゃ通用しない。とにかく各キャラが毎度同じような事しか言わないのですごく頭が悪く思えるのだ。かりそめにも女子落語家という設定があるのに、会話に知性もウィットも感じられないというのはかなりいただけない。別に落語をやれとは言わないが、バカキャラは一人でいいのに全員バカキャラだと期待外れもいい所である。また原作者のウリのひとつであろう時事ネタや風刺も、絶望先生の時に比べてネットユーザーやオタク層に媚びた感じがしていて逆に鼻についた。

良かった点はアニメオリジナルと思われる都内の各地を散策するエピソードだ。誰しもが知っているような有名な場所がほとんどだが、たまに地元民しか知らないようなウンチクが聞けたのが良かったと思う。また水島監督ならではの演出や業界ネタはこの作品では光っていた。というかギャグに関しても女の子を可愛く描く事に関しても、それなりに実績がある水島監督が関わってここまでつまらない作品というのも珍しい。完全に企画倒れというか、むしろこの企画と人選で失敗している事が不思議でならない。