さんかれあ を観た感想

テレビアニメ、「さんかれあ 」を観た。

まったく度を超えた変態の多い作品だった。

まず主人公がゾンビフェチである。ゾンビ映画が好きというレベルに留まらず、ゾンビ以外にまったく興味がなくあまつさえゾンビ少女との恋愛を妄想するという変態っぷりにまず度肝を抜かれた。全体を通してコメディタッチに描かれているので吐き気をもよおすという程ではなく、こういうキャラは嫌いじゃあない。ただしこういうのが増えすぎてもつまらなくなってしまうが。

次にヒロインの父親である。娘を溺愛し束縛している。それだけなら厳しい父親のレベルなのだが、娘の誕生日に毎年ヌードを撮影し、娘に近づく自分以外の人間を徹底的に排除する。自分自身はそれを父性愛だと思っているみたいだが、どうみても度を超えたド変態である。主人公の変態性に比べればリアリティがあるため、こちらは見ていて少々気分が悪くなるような種類の変態でもある。ただあくまで本人は真剣なので、自分が変態だとまったく思ってないところにわずかに救いがあるだろうか。

最後にヒロインである。このヒロインは一見するとおとなしく礼儀の正しいお嬢様に見えるが、この父親に育てられてこんな感じに仕上がっている事がそもそもおかしい。それでいて唯一の願いが「普通の女の子になりたい」だなんてよく考えるとかなり気持ちが悪い。常識をかなり逸脱した主人公の嗜好や、愛猫を蘇生させようしている事など何の躊躇もなくすぐに受け入れてしまう。純粋培養ゆえの無知か、中学生くらいになるまでこの父親になんの疑問も感じてなかった節があるのに、父親が余所とは違うと知った途端に反抗期を迎え、追い詰められると簡単に死を選んで毒を飲む。その結果として自分がゾンビになってしまった事も、いずれ自分の肉体が腐って滅ぶという事もこれまた簡単に受け入れてしまう。ド変態の主人公と父親に対して常識的なヒロインという対比を際立たせる設定のためか、個人的にはこのヒロインが一番狂っている印象を受けた。主人公や父親は変態ながらも行動や思考に一貫性があるが、このヒロインにはそれが無いからだ。異常なほどに順応性の高い、人間味の乏しい薄ら寒くなるような性格。別に冷酷であるとか無表情というのではない。作品の内容にからめて言えば、「この女、肉体がゾンビになる前から、精神的にはゾンビだったんじゃね?」ってな感じだ。きっと炎で焼かれても笑いながら死んでいくんだろう。

そして作品全体の感想としては、このあまりにも個性的な三人のキャラクターのおかげで結構楽しめた。原作漫画の連載が終了したら、いずれ単行本を揃えて結末を読んでみたいという気持ちにはさせられた。