プラネテスを読んだ

幸村誠によるSF漫画、プラネテスを読んだ。

いつか自分の宇宙船を買うことを夢みて宇宙に漂うスペースデブリを回収する仕事に携わる若者達の物語。宇宙を舞台にした冒険ものかと思ったら、宇宙や人間や人生や愛を問いかけるとても哲学的な作品だった。

真っ暗な宇宙空間を背景に自分の存在意義を問いかける描写はかなり秀逸で、人生にストレスを感じていたりちょっと疲れていたりすると主人公のハチとかなりの割合で共感して自分の人生や生き方を考えさせられることだろう。逆にまったく共感できなくてむしろ気持ち悪いとまで感じる人は、ほとんど何も悩まずに人生送っている幸福な人なんじゃないかと思う。

自分の場合はそこそこに共感してそこそこに楽しめたが、これがもうちょっと若い頃だったらまさに涙があふれんばかりに感動したと思う。いい加減年をくって達観したのか不感症になったのかは知らないが、ハチに共感している自分がいると同時に客観的に冷めた目で見ている自分もいた。

アニメ化もされているみたいでそちらもさぞかし名作なんだろうと思うが、いまいち見たいという気持ちが沸いてこない。きっともう私はいい感じに年をくっているのと同時、いい感じに幸福な人間なんだろう。もっと気楽に何も考えずに見られる娯楽作品を見るのが今の自分には丁度良い。