40歳の童貞男を観た感想

アメリカはユニバーサル・ピクチャーズ配給のコメディ映画、「40歳の童貞男 (The 40 Year Old Virgin)」を観た。監督はジャド・アパトー、主演はスティーヴ・カレル。

作品の内容はタイトルからも想像できる通り、童貞のまま40歳になってしまった男・アンディが、同僚たちと自身の体験について会話しているうちに童貞である事がバレてしまい、同僚たちから童貞卒業のアドバイスを受けるというもの。ただし主人公がオタク趣味の童貞という割には、見た目に派手さはないもののこざっぱりと清潔で、性格も積極性は無いが人あたりの良い魅力的な男性で、本人が奥手であるという事を除いて作中ではかなり女性にモテている。他にもいろいろと設定につっこみたくなる人もいるだろうが、これはコメディなので設定のリアリティについてはあまり深く考えずに観た方がいいだろう。

ちなみに私はオリジナルならではのセリフ回しの面白さを楽しむために英語音声だけで観た。なのでところどころ性的なスラングの意味がよく解らずに笑いのツボを逃している感じもしたが、作中で何度も “Virgin (英語では男性も女性もバージンと言う)” という言葉が連発されるのには笑った。

中でも一番笑ったセリフは、アンディの童貞が同僚たちにバレた翌日、職場全員にそのことをバラされてしまって、みんなから色々と同情的なアドバイスを受けてアンディがいたたまれなくなっている所に、職場の上司らしい女性がその場を治めるために言ったセリフ。

All right, that’s enough. Party’s over. Let the virgin get back to work.
はいはい、もういいでしょ、もうお終い。童貞は仕事に戻りなさい。

この一言でとどめを刺されたアンディはついにその場から走って逃げ出し、さすがに悪いと思った同僚がそれを追いかけるシーンにつながる。ちなみにこの上司の女性も悪気があって言った訳ではなく、その後アンディの童貞を狙って色々とアプローチをかけてくる。

という事で前半はコメディらしく笑いどころが満載で面白いのだが、終盤に行くに従ってラブコメディの要素が強くなっていって笑いの要素が減ってくる。ラストはいかにもハリウッド映画という感じの終わり方で、良くも悪くも予想や期待を裏切らない作品に仕上がっていると思う。

という事で興味を持った人は過剰な期待を抱かずに気楽なきもちで観ると良いだろう。

御先祖様万々歳!を観た感想

押井守監督による異色のホームドラマアニメ、「御先祖様万々歳!」を観た。

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー、機動警察パトレイバー 劇場版、GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊、などなど日本アニメのみならず世界の映画界にまで少なからぬ影響を与える押井守監督によるオリジナル作品という事で観てみたわけなのだが、期待どおり、いや予想どおりの作品だった。

この作品を素直な気持ちで「面白い」と言える人は映像制作や舞台芸術に携わる玄人だけだろう。それ以外でこの作品を「面白い」と言うのは、私のように、性根がひねくれてしまってもはや素直な気持ちで作品を観ることのできなくなってしまった半可通の素人だ。押井守という監督は「原作という束縛」があってはじめてまともな作品を作ることができる人なのだという事がよくわかった。

ちなみにこの作品を「本当に面白い」と言い張る人は、大学生の演劇サークルのオリジナル作品を見に行けばこんなのばっかりだから楽しめると思う。作品が理屈先行で表現技術が追いつかず、最後にはその理屈さえも破綻してその結果生まれたものを「前衛」だと主張する典型的なパターンである。「面白い」のも評価に値するのも、作品それ自体ではなく、この作品を商品として完成させてしまった会社の経営陣のメンタリティの方だと思う。これだけ好き勝手やったら、作ってる方はさぞかし楽しいだろうよ。

ただこういう作品があるからこそ、それが土壌となって大勢の人々を楽しませる名作が生み出されるのだと思う。「前衛」という言葉そのものの意味で、後に続く作品の露払いとなったと言う点で実にアバンギャルドな作品だった。だからもう一度言おう、この作品を素直な気持ちで「面白い」と言える人は映像制作や舞台芸術に携わる玄人だけだろうと。

じょしらくを観た感想

テレビアニメ、「じょしらく」を観た。

「このアニメは女の子の可愛さをお楽しみ頂くため、邪魔にならない程度の差し障りの無い会話をお楽しみ頂く番組です。」という事らしいが、残念ながら女の子は対して可愛くない上に、会話も特に楽しくなかった。

まず女の子だがキャラデザインはまあ普通のレベルなのだが、性格のキャラづけが薄っぺらいというか大雑把に思えた。同じ原作者の さよなら絶望先生 のように、各キャラに一つづつ少々常軌を逸した個性的なキャラづけがなされているのだが、このやり方は10人以上の女の子キャラが登場する絶望先生で通用してもメインキャラが5人しか居ない今作じゃ通用しない。とにかく各キャラが毎度同じような事しか言わないのですごく頭が悪く思えるのだ。かりそめにも女子落語家という設定があるのに、会話に知性もウィットも感じられないというのはかなりいただけない。別に落語をやれとは言わないが、バカキャラは一人でいいのに全員バカキャラだと期待外れもいい所である。また原作者のウリのひとつであろう時事ネタや風刺も、絶望先生の時に比べてネットユーザーやオタク層に媚びた感じがしていて逆に鼻についた。

良かった点はアニメオリジナルと思われる都内の各地を散策するエピソードだ。誰しもが知っているような有名な場所がほとんどだが、たまに地元民しか知らないようなウンチクが聞けたのが良かったと思う。また水島監督ならではの演出や業界ネタはこの作品では光っていた。というかギャグに関しても女の子を可愛く描く事に関しても、それなりに実績がある水島監督が関わってここまでつまらない作品というのも珍しい。完全に企画倒れというか、むしろこの企画と人選で失敗している事が不思議でならない。

さよなら絶望先生を観た感想

以前から まりあ†ほりっく荒川アンダーザブリッジ化物語 などなど、新房昭之監督の作品がお気に入りの私だが、以前からずっと観たいと思っていた「さよなら絶望先生、俗・さよなら絶望先生、懺・さよなら絶望先生」をようやく観れた。

作品内容の説明はいまさら必要ないかも知れないが、物事を何でもネガティブに捉える絶望先生こと・糸色望(いとしきのぞむ)が中心となって、個性的な女子生徒たちと織りなす会話劇である。会話内容としては時事ネタや社会風刺などをシニカルに捉えつつギャグとして描いている感じで、別の言い方をすれば「誰しもが一度は考えるけど、それを人前で言うのはちょっと大人気ないと思われがちな事」が多い。

なので第1期は各キャラクターの性格が把握できてくると中々面白く観れるが、第2期・第3期ともなるとさすがに食傷気味に思えてくる。扱うネタも尽きてくるのか、最終的にほとんどこじつけやいいがかり的なネタが占めるようになってくるともうお腹いっぱいとなる。日本的なパロディや風刺の限界というか、どうせやるならとことんやってしまった方が面白いはずなのだが、どうしても中途半端な描き方になっているのがせっかくのネタをつまらなくしていて残念だった。

深夜アニメも所詮はマスメディアの一部だし、なにより商売なのだがら余計なトラブルは避けたいというのがごく普通の考えなのだろう。欧米の風刺映画ほどやれとは言わないが、訴訟リスクとそれによる宣伝効果なんかも計算に入れた上で風刺ネタを扱った方がきっと面白い作品ができると思うのだけど、結局のところ日本の漫画やアニメを作っている人たちって「いい人」が多いのだと思う。いい人は商売が下手だし、いい人がアクの強い作品を作る事は難しい。

フランケン・ふらんを読んだ感想

木々津克久による漫画作品、フランケン・ふらんを読んだ

タイトルや絵柄から想像がつくと思うが、フランケンシュタインの怪物をモチーフに猟奇やグロを中心としたブラックなショートストーリーに、若干の萌えやオタク要素を盛り込んだような感じの作品である。

この手の作品にはありがちなのだが、基本的には絵的に血なまぐさい描写と同時に、人間の持つ欲望など精神的な醜さも描写して、最終的には登場人物のほとんどが不幸になるという、因果応報モノとしての定形に沿っている。しかしそういう「お決まり」のパターンの他に、たまにこの手の作品の世界観の持ち味を良い方向にいかしたエピソードがたまにあって、これがなかなか秀逸な感じに仕上がっている。

中には仮面ライダーなどの特撮ヒーローのオマージュと思えるエピソードなどがあって、正統派のブラックコメディから見れば異端とも言えるこの手の話が実に面白い。逆に言えばきちんとしたブラックストーリーを求める人はあまり期待して読むべきではないだろう。かと言って萌え作品として読むにはグロすぎるので、読む人は選ぶだろうなという感じの作品である。

色々な意味でオススメはしにくいが、それでも興味のある人には読んでもらいたくなるような秀作だった。

大人のキリンレモンを飲んだ感想

最近晩酌のビールの代わりにノンアルコールビールを飲むようになったのだが、これをしばらく続けているとノンアルコールビール自体もあまり飲まなくなって、その代わりに炭酸飲料をよく飲むようになってきた。

もともと私がコーラ好きだというのもあって、カロリーだけでなくカフェインもゼロというコカ・コーラ ゼロフリーや三ツ矢サイダー オールゼロなんかを飲んでいたのだが、この手の炭酸飲料は甘みが強い事もあってずっと飲んでいるとさすがに飽きがくる。

そこで甘みが抑えられた、それでいて飲み口が爽やかな炭酸飲料が無いか探していたら、この大人のキリンレモンを見つけたという訳だ。商品説明には「レモン感・甘みをアップさせ、カロリーゼロながらも飲み応えある味覚」と書いてあるが、まあそれほど甘くはない。それよりもレモンの爽快感が心地よく、ノンアルコールのレモンサワーを飲んでいるような爽快感がある。

今回はアマゾンの方が安かったけどポイントセールなども含めると楽天の方が安い事もある。
キリン 大人のキリンレモン @ 楽天市場

ここで本音をいえば、本当は焼酎を割ってレモンサワーを作るためのいわゆるハイサワーを焼酎を入れずにストレートで飲むのが一番おいしく飲めるのだが、この手の商品は残念ながら微妙に値段が高いので、このキリンレモンで代用しているという訳だ。

結果としてビールを飲んでいた時に比べて肝臓や胃腸の調子はいいし、カロリーは抑えられているし、その上お財布にも優しいといいことづくめである。いきなりお酒を止めるというのは難しいと思うが、ノンアルコールビールから始めて徐々に炭酸飲料などのソフトドリンクにシフトいけば止めるまでいかなくとも酒量を減らすことはできると思う。

サントリー オールフリー ノンアルコールを飲んだ感想

以前、アサヒのドライゼロというノンアルコールビールを飲んで以来、定期的にこちらを愛飲していた私だったが、たまには他社のノンアルコールビールも飲んでみようと サントリーのオールフリー というのを飲んでみた。

今回はアマゾンの方が安かったけどポイントセールなども含めると楽天の方が安い事もある。
サントリー オールフリー ノンアルコール @ 楽天市場

オールフリーという名前は、なんとアルコール分だけでなくカロリーや糖質までもがゼロという事らしい。特にカロリーもゼロというのがアピールポイントなのだと思うが、もともとそれほど量を飲むわけではないノンアルコールビールのカロリーは私としてはそれほど気にならないので、むしろカロリーをゼロにする事によって味が落ちる事の方が心配になってくる。

で、飲んだ感想としては「これはビールではないな」というものだった。アサヒのドライゼロがかなりビールに近い味を再現していたのに対し、こちらはなんか麦汁の炭酸水をそのまま飲んでいるような気がする。原材料名のところを見てみると一番始めの部分に「麦芽、ホップ」と書いてあり、本来であれば「糖類(水あめ、果糖ぶどう糖液糖)、大豆ペプチド」と書いてあるドライゼロに比べて、ビールと同じ原材料を使っているオールフリーの方がビールに近い味になっても良いはずだが実際には逆の結果となっている。

理由については素人ながら思い当たる事がないでもない。そもそもビールというのは大麦に含まれる澱粉が発芽して麦芽となる事によって糖に分解され、その糖をビール酵母がアルコール発酵する事によって作られる。だからサントリーはノンアルコールビールを作るために、いかにこのアルコール発酵をさせずに麦芽の糖分を取り除くかという事に注力して商品を開発したのだろう。しかしその結果としてオールフリーには糖を取り除いた後の麦芽の匂いと味が色濃く残る事となっている。それに反してアサヒの方は最初からビールに近い味のする炭酸飲料を「人工的に」作りだす事に注力したようだ。こちらは逆に水飴、つまりは麦芽糖を加えてビールが持つほんのわずかな甘みを出し、苦味については第3のビールの原料としてもよく使われる大豆ペプチドで再現している。

おそらくオールフリーの方が原材料費のコストがかかっているのだろうが、どちらがよりビールに近い味を再現しているかと言えば、私としてはドライゼロの方に軍配を上げる。しかし実をいうと、私の場合このドライゼロを飲むようになってからビールを飲む回数が減り、さらにはこのドライゼロを飲む機会までもが段々と減っていきているので、長い目でみればどちらの会社にとっても良い事にはならないのかも知れない。私自身は身体も健康になるしお金も節約できるしでいいことづくめなのだが。

黄昏乙女×アムネジアを観た感想

テレビアニメ「黄昏乙女×アムネジア」を観た。

あらすじとしては、主人公の通う学校の怪談として有名な夕子さんに取り憑かれ、その夕子さんの失われた記憶を取り戻すために怪談の謎を追うというストーリー。しかしそんな設定よりも、幽霊であるが故に久しぶりに人と会話できた夕子の主人公に対するベタ惚れっぷりがすさまじく、作品全編を通してイチャラブ・バカップル全開である。

いや別にイチャイチャする事は別に構わないのだが、あまりにも度を超えた夕子の主人公に対する依存具合が、かわいらしいを通り越してウザいというか正直に言えば気持ち悪かった。主人公がやたらと性格の良い美少年だったり、モチーフが学校の怪談だったりと、どちらかといえば男よりは女向けの作品なのかも知れない。

そしてこの手の「学校の怪談」を題材にした作品は、得てして「幽霊よりも人間の方が怖いよね」なんて感じの、群集心理の暴走を安直に描く方向に話が向かいがちなのだが、この作品についてもやっぱり同様の展開が待っていた。

群集心理の暴走がとても怖いことは否定はしないが、暴走した人々が完全に理性を失っていたりすると、怪談というよりまるでゾンビ映画を見ているような気分になる。私が本当に怖いと思うのは、暴走した人々がそれでもなお理性を保っていて、自分たちのやる事が悪い事だと自覚した上で、「ごめんね」といいながら人を殺そうとしたりしてるような描き方だ。こういうのはそれに至るための過程を描くのが長くなる上に、救いがまったく無くなるのでアニメ向きではないかも知れないが、本当に怖いと思う。

まあもともとあまり期待をして観たわけではないので、こんな風に色々と感想を考えている時点で実は結構楽しめたのかも知れない。

ストライクウィッチーズ劇場版を観た感想

ストパンの劇場版をBDで観た。

TV版第2期終盤での活躍により、欧州に一定の平和を取り戻した代償として魔法力を失った宮藤のもとに、軍人一家に育った生真面目な新人ウィッチ服部が迎えに来るという所から物語は始まる。ネタバレはできないのでかなり大雑把にいうとすったもんだあったあげく、みんなで力を併せてがんばる! という展開になるのだが、ぶっちゃけ本筋のストーリーはそれほど面白くなかった。

もともとキャラクターの多いストパンシリーズで、501統合戦闘航空団のおなじみのメンバー達だけでなく他の航空団のメンバー達も登場するので、それらのキャラクターの簡単な紹介というか顔見せの部分がかなり部分をとっているからだ。1時間半強という時間では主役の芳佳と今回の準主役の服部以外にはあまりスポットライトがあたらず、物足りないというかお気に入りのキャラがあまり目立っていないという不満を持つファンも多いのではないかと思う。

なので劇場版というだけで壮大なストーリーとか細かい感情描写とか期待してはいけない。芳佳ファン以外の方は、お気に入りのキャラの大活躍を期待してもいけない。どちらかというと第1期・第2期を観てくれたファンに対するサービスと、ついでに円盤も売って新キャラいっぱい出してこれまで出した関連本やフィギュアとかのグッズが売れればいいなという商売人根性が生み出したスペクタクルだと思えばいい。

まあこのBDを買うような人は様子見とかせず有無を言わずに円盤を購入していると思うので、わざわざここでオススメとかする必要もないと思うが、レンタルが解禁されたら見ようと思っている人はあまり期待せずに観た方が良い。

もやしもんを観た感想

テレビアニメ「もやしもん」と「もやしもん リターンズ」を観た。

主人公が肉眼で菌を見たり菌と会話することができるという事を除いてはほぼ現実的な日常作品で、少々特殊な大学を舞台に個性的な学生や教授たちの生活を描くという意味では佐々木倫子の「動物のお医者さん」が雰囲気の近い作品だろうか。

なので面白いポイントといえば菌や発酵食品に関するウンチクが豊富だと言う所だろう。それだけにそういう話題が豊富な序盤は面白いのだが、後半にいくに従って飽きが出てくる。美里や川浜など生徒たちが繰り広げるドラマも面白いのだが、遥の政略結婚を巡るストーリーに結構な話数をさいていたのがかなりつまらなかった。政略結婚で良家の子女がいい年こいて反抗期とかいつの時代の少女漫画だ。教授が政財界の重鎮たちと顔なじみとかいう設定も中二病丸出しだし、しかもそいつらがたとえ本人の意に染まぬ結婚だとしても他人の家庭の事情に口を出すとか独善的すぎる。

作品全体としては決して悪いわけではないので、もやしもん 第1期だけならかなりオススメに入るアニメだと思う。第2期のリターンズの方は駄作とは言わないまでも、わざわざ観るほどの価値は無いと思う。