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ハンニバル・ライジングを見た

レッドドラゴンに続いて、ハンニバル・ライジングを見た。

羊たちの沈黙をはじめ老人として描かれてきたレクター博士の幼少期と青年期を描いた作品である。他作に比べて猟奇的な描写は少なく、スリルやサスペンスといった雰囲気ではない。そのかわり第二次大戦期やその後の時代のヨーロッパの雰囲気がよくでていたように思う。

青年ハンニバルを養ったムラサキ夫人や日本文化の描写が相変わらず中国文化と混同しているというか誤解だらけだが、そこら辺はたぶんお互いさまなんだろう。

この作品が面白いと思えるかどうかは青年ハンニバルを演じるギャスパー・ウリエルに魅力が感じられるかどうかだと思う。若いわりによい演技をする美形だが、老人ハンニバルを演じたアンソニー・ホプキンスと比べるのは酷だろうか。

レッドドラゴンを見た

ハンニバルにつづいて、レッドドラゴンを見た。

映画としては第3作目になるが、原作小説ではこれが最初の作品となるらしい。時系列としては映画第1作の羊たちの沈黙より前の話である。

3作目ともなると最初の作品でうけた衝撃はだいぶ和らいで、せっかくの緊張感のあるストーリーも何も感じなくなってきてしまう。第2作のような猟奇的な描写は少ないが、それと同時に犯人の内面や心理の描写が少し弱いように思える。なにより主人公がハリウッド映画でありがちなキャラクターとして描かれているので、普通のサスペンス映画という印象の枠を出ない。レクター博士があくまで脇役にまわっているという点も退屈な理由になるかも知れない。

とにかくハンニバル・レクターシリーズのよほどのファンでない限りは、この作品をあえて見る必要はないだろう。駄作というわけではないが、他にもサスペンスの良作は探せばあるからだ。なお私はレクター博士のファンなので、次もレクターシリーズの映画を見る予定だ。

ハンニバルを見た

前回羊たちの沈黙を見たのに引き続き、続編のハンニバルを見た。

前作にも増して猟奇的な描写が強烈な印象を残すこの作品だが、映画としての完成度はやはり前作には及ばないように思う。何より前作を経て、ある程度猟奇描写に対する慣れみたいなのが生じるからだ。前作にあったようなはりつめた緊張感は緩和され、猟奇描写には衝撃より嫌悪感の方が強く沸いてくる。

ジョディ・フォスターにかわってクラリス役を演じたジュリアン・ムーアは、なかなかの好演を見せてはいるが残念ながら存在感という点ではいまいち劣る。ハンニバルというタイトルどおり、アンソニー・ホプキンス演じるレクター博士の独壇場といった感じだ。

ただし総合して前作にはかなわないものの、ひとつの映画としては名作の部類に入るだろう。まだ見たことがない人には羊たちの沈黙からとおして見ることをお勧めするが、やはり同じような感想を持つと思う。

羊たちの沈黙を見た

久しぶりに羊たちの沈黙を見た。

なんといってもこの作品はレクター博士を演じるアンソニー・ホプキンスとクラリス捜査官を演じるジョディ・フォスターの主役二人の演技がすばらしい。それぞれ第64回アカデミー主演男優・女優賞を取っているが、彼らの名演なくしてはこの作品の持つ緊張感は生まれなかったろう。

この作品が与えた影響は日本でも大きくて、近年の刑事ドラマなどでの当たり前のように使用される「プロファイリング」はこの作品のヒットによって日本のドラマや漫画作品でも使われるようになった。なお日本の捜査機関がプロファイリングの研究に着手したのが、1988年の宮崎勤事件の後で、この映画の公開が1991年、科学警察研究所と科学捜査研究所の有志が集まり「プロファイリング研究会」が組織されたのが1995年、初めての公式の部署として北海道警察署に特異犯罪情報分析班が設置されたのが2000年と考えれば、この作品がドラマ等だけでなく日本の捜査機関にもある程度の影響を与えたと考えるのは過大評価だろうか。もちろん映画の中のレクター博士みたいに超能力のように犯人を言い当てることが無理なのはもちろん解っていただろうが、この映画のヒットによってプロファイリングという捜査手法に以前より増して興味を持った警察官僚は少なからずいたと私は思う。

スリーメン&リトルレディを見た

スリーメン&ベビーに引き続き、続編であるスリーメン&リトルレディを見た。

前作の最後で娘一人、母親一人、父親三人という共同生活を始めたのだが、5歳に成長したメアリーと親達の騒動を描いている。

メアリーは小学校に入る年齢になり、特殊な共同生活は社会との摩擦を少しづつ生み始める、そして普通の幸せを求める母親のシンディは再婚を真剣に考えることになる。5人の共同生活の危機に三人の父親達はどう行動するのだろうか。といった感じのお話である。

まあ左の画像にオチが描いてあるわけだが、結局落ち着くところに落ち着いたという感じだ。別に普通と違ういろいろな家族が居ても良いと思うが、普通と違う生活を何のストレスもなく満喫できる人はそれほど多くは無い。完全な当て馬にされたエドワードは実に気の毒だが、5人にとっては必要な通過儀礼だったのだろう。

悪い言い方をすればハリウッドらしい無難な着地点に落ち着いたという感じで、原作のフランス映画がまた違った後日談を描いてる事を思えば、比較すると面白いかも知れない。

映画 バラ色の選択を見た

マイケル・J・フォックス主演の映画、バラ色の選択を見た。

1993年製作の古い映画だが、バックトゥザフューチャーを現役でみた世代はマイケル・J・フォックスが好きだという人も多いと思う。

日本全体がずっと不景気だからか最近はこの手のサクセスストーリーを見ることはあまりないように思える。マイケル・J・フォックスといえば “摩天楼はバラ色に” を始めとしてアメリカンドリームを夢見る若者を演じることが多いが、私としては不景気だからこそこういう夢を抱かせるような物語を作って欲しいと思う。

ストーリーはまるで “摩天楼はバラ色に” を焼きなおしたような感じでいまいちだが、マイケルファンとしてはマイケルが出演しているというだけで見る価値がある。逆に言うとマイケルファンで無い人が見ても面白くはないだろう。

スリーメン&ベビーを見た

アメリカのコメディ映画、スリーメン&ベビーを見た。

フランス映画のリメイクらしいが、自分はハリウッド版の方がなじみが深い。1987年というからかなり昔の作品だが、レンタルビデオで借りて何度かみた記憶がある。

この作品が面白いのは何より子供なんかに興味なさそうな独身貴族の男三人組が、突如赤ん坊の世話を押し付けられて四苦八苦する所にある。そしてやがて情が移ってしまい、最後には赤ん坊中心の生活を送るようになってしまうという展開の面白さがある。

すべての男がそうだとは思わないが、自分も若い頃は子供や動物なんて好きじゃなかった。しかし親戚や友人の子供に妙に懐かれたりすると、いままで自分では考えもしなかった感情が沸いてきてとまどったのをよく覚えている。そうしうのがよく解るからより一層この作品を楽しめるんだと思う。

この作品にはスリーメン&リトルレディという続編があるので、そちらもぜひ見たいと思っている。

TRICKを見た

ひさびさにテレビドラマのTRICK(1期、2期、3期、スペシャル1・2)を見た。

さすがにテレビドラマを全3シーズン+αともなれば結構見るのに時間がかかったが、この作品が大好きなので最後まで飽きずにみることができた。

演技の下手なアイドルがでているドラマよりも、こういうちゃんとした俳優さんたちがでている作品の方が面白い。役者に実力があるから演出の自由度が高くて、随所に笑いがこめられているのも楽しい。これがアイドルとかだと、シリアスのシーンと笑いのシーンの区別がつかなくてグダグダになってしまう事があるからだ。その点この作品は、仲間由紀恵・阿部寛・生瀬勝久といった主要キャラのみならず、脇を固めている役者さんたちの演技も良かった。

話の設定としてもミステリーの謎解きを、手品師にトリックを見破らせるという斬新な手法にしたところも良かった。この点については最後の方で少々ネタ切れ感がでてきたが、うまく演出でカバーしていたと思う。

また続編を作って欲しいとは思わないが、同じメンバーで新しい企画をやって欲しいなとは思う。どんな作品になるかは解らないが、きっと面白いものになるだろう。

キャストアウェイを見た

前回東京島を見たの引き続き、ロバート・ゼメキス監督、トム・ハンクス主演の映画、キャストアウェイを見た。

この映画は公開当時映画館で見た事があるのだが、ひさびさに見て期待したほどは面白くなかった。やはり東京島に比べて漂流者が一人という事でストーリーに山場という山場が無い感じが退屈に思えたのだと思う、という事で特に映画に対する感想は無い。

しかし無人島というと最初に思いつくのが植田まさしの漫画という人は結構いるのでは無いかと思うが、なんだか久々に植田まさしの漫画が読みたくなってしまった。

東京島を見た

木村多江主演の映画、東京島を見た。

この映画は実に生々しい作品だと思う。物語は中年の女性が夫と共にクルーザーでの旅行中に、船が難破して無人島に流れ着いてしばらく暮らした所から始まる。その島に新たに若いフリーターの男達が16人流れ着き、島で唯一の女性である主人公の清子がどうやって生き抜いていくかを描いた物語である。

まずこの設定だけでかなりエグい印象を受けるが、実はこれは “アナタハンの女王事件” という実際の事件をモチーフにしている。一緒に流れ着いた夫は序盤で早々と命を落とし、清子は男達の中で腕力の強いカスカベの妻となって女王として君臨する、その後また新たに6人の中国人の男達が流れ着き、カスカベも謎の死を遂げる。男達は争いの種になる清子の夫となる男を公平にクジで選ぼうとするが…、といった感じで物語は進んでいくが、その後も予想を裏切る展開が息つく間もなくやってくる。ハリウッド映画の様な派手なスリルも無ければサスペンスも無いが、ただひたすらじわじわと生々しい展開が待っている。

映画として面白いとは簡単には言えない、ある意味で面白い作品だと思うが、その面白さは見ていて心地良いものでは無いからだ。島からの脱出を試みる中国人たちと比べて、刹那的に島に順応してる様な日本人の男達、そしてその間を女という武器を使っていったりきたりする清子、こういう娯楽の域を超えたリアリズムは精神的にキツい。しかも清子が中年女だというからなおさらだ。私がもしこの島の男達の一人だとしたら、強く生きる事も上手く順応する事もできず早々に精神を病んでいるような気がする。

恋人や家族と一緒には見れないが、仲の良い友人には勧めたい作品だと思う。