アニメ・漫画」カテゴリーアーカイブ

さよなら絶望先生を観た感想

以前から まりあ†ほりっく荒川アンダーザブリッジ化物語 などなど、新房昭之監督の作品がお気に入りの私だが、以前からずっと観たいと思っていた「さよなら絶望先生、俗・さよなら絶望先生、懺・さよなら絶望先生」をようやく観れた。

作品内容の説明はいまさら必要ないかも知れないが、物事を何でもネガティブに捉える絶望先生こと・糸色望(いとしきのぞむ)が中心となって、個性的な女子生徒たちと織りなす会話劇である。会話内容としては時事ネタや社会風刺などをシニカルに捉えつつギャグとして描いている感じで、別の言い方をすれば「誰しもが一度は考えるけど、それを人前で言うのはちょっと大人気ないと思われがちな事」が多い。

なので第1期は各キャラクターの性格が把握できてくると中々面白く観れるが、第2期・第3期ともなるとさすがに食傷気味に思えてくる。扱うネタも尽きてくるのか、最終的にほとんどこじつけやいいがかり的なネタが占めるようになってくるともうお腹いっぱいとなる。日本的なパロディや風刺の限界というか、どうせやるならとことんやってしまった方が面白いはずなのだが、どうしても中途半端な描き方になっているのがせっかくのネタをつまらなくしていて残念だった。

深夜アニメも所詮はマスメディアの一部だし、なにより商売なのだがら余計なトラブルは避けたいというのがごく普通の考えなのだろう。欧米の風刺映画ほどやれとは言わないが、訴訟リスクとそれによる宣伝効果なんかも計算に入れた上で風刺ネタを扱った方がきっと面白い作品ができると思うのだけど、結局のところ日本の漫画やアニメを作っている人たちって「いい人」が多いのだと思う。いい人は商売が下手だし、いい人がアクの強い作品を作る事は難しい。

フランケン・ふらんを読んだ感想

木々津克久による漫画作品、フランケン・ふらんを読んだ

タイトルや絵柄から想像がつくと思うが、フランケンシュタインの怪物をモチーフに猟奇やグロを中心としたブラックなショートストーリーに、若干の萌えやオタク要素を盛り込んだような感じの作品である。

この手の作品にはありがちなのだが、基本的には絵的に血なまぐさい描写と同時に、人間の持つ欲望など精神的な醜さも描写して、最終的には登場人物のほとんどが不幸になるという、因果応報モノとしての定形に沿っている。しかしそういう「お決まり」のパターンの他に、たまにこの手の作品の世界観の持ち味を良い方向にいかしたエピソードがたまにあって、これがなかなか秀逸な感じに仕上がっている。

中には仮面ライダーなどの特撮ヒーローのオマージュと思えるエピソードなどがあって、正統派のブラックコメディから見れば異端とも言えるこの手の話が実に面白い。逆に言えばきちんとしたブラックストーリーを求める人はあまり期待して読むべきではないだろう。かと言って萌え作品として読むにはグロすぎるので、読む人は選ぶだろうなという感じの作品である。

色々な意味でオススメはしにくいが、それでも興味のある人には読んでもらいたくなるような秀作だった。

黄昏乙女×アムネジアを観た感想

テレビアニメ「黄昏乙女×アムネジア」を観た。

あらすじとしては、主人公の通う学校の怪談として有名な夕子さんに取り憑かれ、その夕子さんの失われた記憶を取り戻すために怪談の謎を追うというストーリー。しかしそんな設定よりも、幽霊であるが故に久しぶりに人と会話できた夕子の主人公に対するベタ惚れっぷりがすさまじく、作品全編を通してイチャラブ・バカップル全開である。

いや別にイチャイチャする事は別に構わないのだが、あまりにも度を超えた夕子の主人公に対する依存具合が、かわいらしいを通り越してウザいというか正直に言えば気持ち悪かった。主人公がやたらと性格の良い美少年だったり、モチーフが学校の怪談だったりと、どちらかといえば男よりは女向けの作品なのかも知れない。

そしてこの手の「学校の怪談」を題材にした作品は、得てして「幽霊よりも人間の方が怖いよね」なんて感じの、群集心理の暴走を安直に描く方向に話が向かいがちなのだが、この作品についてもやっぱり同様の展開が待っていた。

群集心理の暴走がとても怖いことは否定はしないが、暴走した人々が完全に理性を失っていたりすると、怪談というよりまるでゾンビ映画を見ているような気分になる。私が本当に怖いと思うのは、暴走した人々がそれでもなお理性を保っていて、自分たちのやる事が悪い事だと自覚した上で、「ごめんね」といいながら人を殺そうとしたりしてるような描き方だ。こういうのはそれに至るための過程を描くのが長くなる上に、救いがまったく無くなるのでアニメ向きではないかも知れないが、本当に怖いと思う。

まあもともとあまり期待をして観たわけではないので、こんな風に色々と感想を考えている時点で実は結構楽しめたのかも知れない。

ストライクウィッチーズ劇場版を観た感想

ストパンの劇場版をBDで観た。

TV版第2期終盤での活躍により、欧州に一定の平和を取り戻した代償として魔法力を失った宮藤のもとに、軍人一家に育った生真面目な新人ウィッチ服部が迎えに来るという所から物語は始まる。ネタバレはできないのでかなり大雑把にいうとすったもんだあったあげく、みんなで力を併せてがんばる! という展開になるのだが、ぶっちゃけ本筋のストーリーはそれほど面白くなかった。

もともとキャラクターの多いストパンシリーズで、501統合戦闘航空団のおなじみのメンバー達だけでなく他の航空団のメンバー達も登場するので、それらのキャラクターの簡単な紹介というか顔見せの部分がかなり部分をとっているからだ。1時間半強という時間では主役の芳佳と今回の準主役の服部以外にはあまりスポットライトがあたらず、物足りないというかお気に入りのキャラがあまり目立っていないという不満を持つファンも多いのではないかと思う。

なので劇場版というだけで壮大なストーリーとか細かい感情描写とか期待してはいけない。芳佳ファン以外の方は、お気に入りのキャラの大活躍を期待してもいけない。どちらかというと第1期・第2期を観てくれたファンに対するサービスと、ついでに円盤も売って新キャラいっぱい出してこれまで出した関連本やフィギュアとかのグッズが売れればいいなという商売人根性が生み出したスペクタクルだと思えばいい。

まあこのBDを買うような人は様子見とかせず有無を言わずに円盤を購入していると思うので、わざわざここでオススメとかする必要もないと思うが、レンタルが解禁されたら見ようと思っている人はあまり期待せずに観た方が良い。

もやしもんを観た感想

テレビアニメ「もやしもん」と「もやしもん リターンズ」を観た。

主人公が肉眼で菌を見たり菌と会話することができるという事を除いてはほぼ現実的な日常作品で、少々特殊な大学を舞台に個性的な学生や教授たちの生活を描くという意味では佐々木倫子の「動物のお医者さん」が雰囲気の近い作品だろうか。

なので面白いポイントといえば菌や発酵食品に関するウンチクが豊富だと言う所だろう。それだけにそういう話題が豊富な序盤は面白いのだが、後半にいくに従って飽きが出てくる。美里や川浜など生徒たちが繰り広げるドラマも面白いのだが、遥の政略結婚を巡るストーリーに結構な話数をさいていたのがかなりつまらなかった。政略結婚で良家の子女がいい年こいて反抗期とかいつの時代の少女漫画だ。教授が政財界の重鎮たちと顔なじみとかいう設定も中二病丸出しだし、しかもそいつらがたとえ本人の意に染まぬ結婚だとしても他人の家庭の事情に口を出すとか独善的すぎる。

作品全体としては決して悪いわけではないので、もやしもん 第1期だけならかなりオススメに入るアニメだと思う。第2期のリターンズの方は駄作とは言わないまでも、わざわざ観るほどの価値は無いと思う。

フラクタルを観た感想

テレビアニメ「フラクタル」を観た。この作品は観る前に作品タイトルで検索したらネット上にあまり芳しくない評判があふれていた事もあって、正直なところあまり期待を抱かずに観たのだが、実際に観てみたら相当に面白い作品だった。

作品の雰囲気は解かりやすく言うと「昔のジブリ」。この点がネットでは「パクり」だと批判されていたようだが、パクりはパクりでもプロの集団によるクオリティの非常に高いパクりで、しかも今のジブリが決してやらないであろう事をやってくれているので個人的にはかなり好きな系統の作品に仕上がっている。ジブリ作品を意識しているだけあって、ジブリほどではないにしろ作画や演出のレベルは高い。ただ上手にまとまり過ぎている感があるので、人によっては面白味が無いと感じられるのかも知れない。

ストーリはこれまたありがちな、「科学が発展しすぎて現代的な人間らしさが失われた世界で、その世界の是非を巡る争いに主人公やヒロインが巻き込まれる」というSFファンタジー。ネットではこのストーリーが少々解りにくいと批判されていたようだが、正直こんなどうでもいい設定のストーリーはたとえ理解できなくても作品を楽しむ上ではなんの障害にもならないと思う。まあところどころアニメ・オタク文化を皮肉ったようなセリフがでてくる点が少々鼻につきはしたが、同人作家のバカな悪ノリだと思って黙殺する事にした。

そうなのだ。私としてはこの作品がネットで色々と批判されていた点についてはまったく同感なのだが、その上でなおこの作品は娯楽として十分に楽しめるアニメであったと思うのだ。個人的には名作といってもそれほど大げさではない。

私はアニメはあくまで娯楽として楽しみたいので、いわゆる粗製濫造と批判されがちな萌え作品・ハーレム作品なども決して嫌いではないのだが、このフラクタルのようなかつてのアニメの王道を踏んだような作品がもっとたくさんあっても良いと思っている。かつてのアニメはキャラクターの内面を必要以上に掘り下げたり、ストーリーに必然性のまったく無い謎が隠されていたりはしなかったものだ。もちろん制作側が暗に含ませた比喩表現みたいなものはこの作品でもあるのだが、いやどちらかと言うとそこは確かに私も鼻につくのだが、あえてそんな意図を完全に無視して作品を見ると後には非常にクオリティの高い娯楽作品が残るのだ。

輪るピングドラムを観た感想

テレビアニメ「輪るピングドラム」を観た。

おそらく多くの視聴者が同じ感想を持ったであったろうが、この作品には完全にやられた。事前に読んでいた簡単なあらすじから推測していたのは、ファンタジーの要素が少しからんだホームドラマのようなイメージだったのだが、そんな予想をはるかに超える展開が待っていた。

両親のいない小さな家で暮らす二人の兄(冠葉と晶馬)と一人の妹(陽毬)。陽毬は病に犯されていて余命いくばくも無い。冠葉と晶馬は陽毬を家族の思い出の場所である水族館に連れていき、ペンギンの帽子を買ってあげるのだが、そこで陽毬は倒れ搬送先の病院で息絶えてしまう。愛する妹の死に悲嘆にくれる冠葉と晶馬だったが、ペンギンの帽子を陽毬が突然起き上がり「生存戦略~!」と叫んだかと思うと、冠葉と晶馬は異世界に飛ばされ、そこには性格も変わりド派手な衣装に身を包んだ陽毬が現れ、二人に「陽毬を助けたければピングドラムを探せ」と命じる。何を言ってるのかわからないと思うが(以下略)

いやあ、なんと言うフリーダム(笑)。冒頭からのシリアス展開を見事に打ち砕く超展開。そこには脈絡も無ければ深い意味も無く、ただただ呆気に取られてしまった。冷静にストーリーを分析すると、あらすじから推測されたファンタジーの要素が少しからんだホームドラマと大きな違いは無いのだが、完全に不意打ちをくらってしまった形で、しばらくは素直にストーリーを追っている自分がいた。

中盤にかけては少し慣れがでてきのか展開に中だるみも感じ、終盤に入るとそれまでの伏線を回収するために少々説明くさい退屈な描写が続いたが、クライマックスを迎える最終盤のシリアス展開の最中でもペンギン達がコミカルなやり取りを続けるという、かつてない冒険的な試みはすごく評価できると思う。娯楽としてアニメを楽しみたい私のような人間にしては、この手の物語終盤のシリアスの押し付けがいつも退屈で仕方が無いからだ。全24話のオリジナルアニメで、全編を通してそれなりに楽しんで見れたのは随分と久しぶりのような気がする。

あともう一つこの作品ついては私が評価したいと思う点は、1995年に起きたあの地下鉄サリン事件をモチーフにしているという事である。大勢の命が失われた事件を題材にする事を不快に思う人もいるであろうが、これがアニメではなく実写映画であったらば同じように不快と思うだろうか。人の命が云々というなら、数多くの戦争映画が、フィクション・ノンフィクションに関わらず映画賞を受賞している事実についても同じように不快なのであろうか。映画に限らず過去の事件を題材にした作品は多く、その背景となった時代の世相を上手く描いた作品は高い評価を受けている。この作品がその意味で名作に値するか否かは別にしても、アニメであるからという無意識化にある印象だけで不謹慎だとレッテルを貼るのには疑問を感じる。またその手の言われのない批判を受ける事を覚悟した上で、あえて題材に地下鉄サリン事件を選んだ点について制作陣を評価したい。

作品全体に対する評価としては上でも言った通り、冷静にストーリーだけを見たならば他作品と比べて特に面白いという訳でも無かったと思う。しかしアニメというメディアの利点を最大限に活用した冒険的な試みがたくさんあったというだけで、高い評価をつけても良いと思う。

バッカーノ!を観た感想

テレビアニメ「バッカーノ!」を観た。

随分前に同じ原作者とスタッフによる デュラララ!! というアニメも見て実に面白かったのだが、時系列としてはこちらの方が先にできた作品だったらしい。ただし系統としては同じで、舞台こそ禁酒法時代のアメリカと現代日本と違いはあるが、イリーガルな事を生業とするいくつかのグループを中心に、人間離れした人間や化物そのものなキャラクター達がおりなすスラップスティックを描いた群像劇である。

私は常々アニメは娯楽として気楽に観たいと思っているので、いわゆるありきたりのハーレム作品や萌えアニメも嫌いではないのだが、この手のスラップスティックはさらに大好きなのだ。そういえば子供の頃大好きだった1990年代あたりのハリウッドや香港のB級映画にはこんな感じの作品がたくさんあったような気がする。ポリスアカデミーとか五福星とか、個性的で魅力あるキャラクターがたくさん登場して、彼らが馬鹿騒ぎを起こした上でいつのまにか大事件に巻き込まれて、最後には協力してそれを解決するという一連の流れがとても面白かった。ハリウッドや香港というとどうしてもアクションに目がいきがちなのだが、あの時代の映画にはどこか抜けていながら愛すべき魅力的なキャラクターが大勢いたと思う。

バッカーノ! や デュラララ!! はそんな魅力的なキャラクターの中に、不死者やデュラハンなどのオカルト要素を足して娯楽性をさらに高めている。どうして不死者やデュラハンが登場するのとか、そんな事はどうでも良い。さらにはただの人間でありながらそんな化物よりも強い人間も登場するが、それが何故なのかも興味が無い。彼らが生み出す群像劇によるスラップスティックがただひたすらに面白いという、その一点に尽きるのだ。

アニメで全13話という短さのせいか、原作を読んだ事が無い私でも少しストーリー展開が駆け足だったような印象を受けたが、それでも作品の面白さを損なうという事がなかったように思う。この作品と同じ原作者によるアニメは残念ながらもう他に無いようだが、アニメ製作スタッフが同じ作品も近々見てみようと思うほどに傑作であったと私は思う。

うぽって!!を観た感想

テレビアニメ「うぽって!!」を観た。

内容としてはサブマシンガンや自動小銃などの世界で流通する銃器を女の子に擬人化して、その学校生活を描く作品である。授業内容は射撃訓練や実践訓練などで、各キャラクターの元となった銃器の特徴が性格や能力に反映されている。

特に銃器に興味の無い自分としては、銃器に関するうんちくが知れるのが面白く、あとはかわいい女の子たちが百合百合しくキャッキャウフフしているのを眺めているだけで楽しい。

そんなだからたまにシリアス展開してそれが2話くらい続くと途端につまらなくなる。私としては元がコメディのような設定なのに無理にシリアスをやる意味が解らない。どうしてコメディはコメディと割りきってアニメを作ってくれないのか。そんなだから全10話という短さの中で面白いと思えるエピソードは半分くらいだったろうか。

IS インフィニット・ストラトスを観た感想

テレビアニメ「IS インフィニット・ストラトス」を観た。

ハーレムアニメもここまでやればむしろ清々しいと思えるほどの作品だった。

基本的に女性しか扱えないはずの IS (インフィニット・ストラトス) と呼ばれる特殊な機体をなぜか動かせてしまった少年が主人公。舞台はその IS の操縦者を養成する訓練校。そしてその学校で唯一の男性である主人公は女性徒たちからモテモテ、という非常に解りやすい設定だ。さらにいうと主人公の姉が教官であり学生寮の寮母でありかつての名パイロットであったり、主人公の幼馴染の姉が IS の開発した天才科学者であったりと、よくもまあここまでご都合主義的な設定を恥ずかしげもなく盛り込めたと褒めてあげたくなるほどであった。

一応言ってくと私はハーレム作品もご都合主義も嫌いではない。むしろ大好きなのだが、この作品は少しそれが極端すぎだと思う。主人公の性格が好青年すぎるのも違和感を感じた。ハーレム作品としては王道といえば王道なのかも知れないが、ちょっとありきたり過ぎたのかも知れない。

ストーリーはそんなどうでも良い感じではあったが、IS による格闘シーンはなかなかであった。それだけに機体の優秀さのみで主人公無双な描き方ではなく、きちんと戦闘におけるカタルシスを感じさせるようなストーリー展開にして欲しかったな、というのが素直な感想である。