借りぐらしのアリエッティを見た

ジブリ作品の借りぐらしのアリエッティをDVDで見た。

映画館では見なかったが、さすがジブリというか丁寧に描き込まれた映像と小人からみた人間生活の描写が見事だった。ストーリーはシンプルというか特に大きな山場があるわけでもなく、小人という設定を除けば日常生活に起きたほんの小さな事件という印象。昔のジブリ作品のように冒険やロマンがあるわけではない。逆にいうと映像が綺麗で演出は素晴らしいが、心に残る名作かというとそれほどでもなく、製作費を注ぎ込んで作られるハリウッド映画とベクトル的には変わらないような気がする。もちろん面白い作品である事は間違いないが。

個人的には子供の頃に見た “天空の城ラピュタ” のような、胸躍る冒険活劇がみたいのだが最近のジブリの方向性は違うようだ。なんとなくだがジブリ全体が “老けた” というか、多額の製作費と多くの人材を使って作品を作るだけに監督が冒険をしなくなっているのではないだろうか。アリエッティの監督は米林宏昌という30代の若い人らしいが、こういう人がもっと自分の作りたい作品を作るようでないと今後の作品にも期待が持てない。もちろんディズニーのように興行的には大成功を収めて一時的には大人気となるだろうが、数年も経てばみんな忘れているような作品ばかりになるだろう。

非常に才能豊かな素晴らしい人々なのだが宮崎駿や鈴木敏夫といった昔のジブリと現在のジブリをずっと代表してきた人々が引退しないとかつてのようなジブリにはならないんだろうなあ。それでも宮崎駿監督という名前だけで作品に期待してしまう私自身も老けたのかも知れないが。