バッカーノ!を観た感想

テレビアニメ「バッカーノ!」を観た。

随分前に同じ原作者とスタッフによる デュラララ!! というアニメも見て実に面白かったのだが、時系列としてはこちらの方が先にできた作品だったらしい。ただし系統としては同じで、舞台こそ禁酒法時代のアメリカと現代日本と違いはあるが、イリーガルな事を生業とするいくつかのグループを中心に、人間離れした人間や化物そのものなキャラクター達がおりなすスラップスティックを描いた群像劇である。

私は常々アニメは娯楽として気楽に観たいと思っているので、いわゆるありきたりのハーレム作品や萌えアニメも嫌いではないのだが、この手のスラップスティックはさらに大好きなのだ。そういえば子供の頃大好きだった1990年代あたりのハリウッドや香港のB級映画にはこんな感じの作品がたくさんあったような気がする。ポリスアカデミーとか五福星とか、個性的で魅力あるキャラクターがたくさん登場して、彼らが馬鹿騒ぎを起こした上でいつのまにか大事件に巻き込まれて、最後には協力してそれを解決するという一連の流れがとても面白かった。ハリウッドや香港というとどうしてもアクションに目がいきがちなのだが、あの時代の映画にはどこか抜けていながら愛すべき魅力的なキャラクターが大勢いたと思う。

バッカーノ! や デュラララ!! はそんな魅力的なキャラクターの中に、不死者やデュラハンなどのオカルト要素を足して娯楽性をさらに高めている。どうして不死者やデュラハンが登場するのとか、そんな事はどうでも良い。さらにはただの人間でありながらそんな化物よりも強い人間も登場するが、それが何故なのかも興味が無い。彼らが生み出す群像劇によるスラップスティックがただひたすらに面白いという、その一点に尽きるのだ。

アニメで全13話という短さのせいか、原作を読んだ事が無い私でも少しストーリー展開が駆け足だったような印象を受けたが、それでも作品の面白さを損なうという事がなかったように思う。この作品と同じ原作者によるアニメは残念ながらもう他に無いようだが、アニメ製作スタッフが同じ作品も近々見てみようと思うほどに傑作であったと私は思う。