あの夏で待ってるを観た感想

テレビアニメ、「あの夏で待ってる」を観た。

なんとなく観る前は「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」と同じ系統の作品かなというイメージを持っていたが、実際に観てみたらまったく似て非なる作品だった。

まず高校生の男女数人グループが複雑な恋愛模様を繰り広げるという点において両作品は共通しているのだが、この作品の人間関係はかなり安直である。主人公が宇宙からやってきた異星人の少女に恋をするのは良いとしても、その主人公に恋をするクラスメートの女子、その女子に片思いをする主人公の親友、その親友に恋をするその女子の親友と、一方通行の恋愛がただ単純に連鎖しているのだ。いったいいつの時代の少女漫画だと言いたくなるようなこの恋愛模様の安直さがまず気になった。そして人間関係が安直だからそれぞれの恋をする理由も安直で、主人公の親友を除いて全員がほぼ一目惚れで相手に恋をしている。まったくひどい設定の手抜きである。

他にドラマといえばやはりヒロインが宇宙人だと言う事なのだが、そのせいでいずれヒロインが地球から去らねばならなくなる点など、やはり使い古された設定が気になっていまいちストーリーに引き込まれるという部分が少なかった。良くいえば王道、悪く言えばセンスが古い。もはや少女漫画ですらなく、まるでお伽話である。

なので感情移入もしずらく、ノスタルジーもまったく感じない。唯一面白かったのは、檸檬先輩とかいう田村ゆかり演じる謎の少女の渋いキャラ設定だけだった。

全体的な感想としては別につまらないという程でもなかったが、ストーリーにあまりひねりが無いので全12話が少々長く感じた。半分の全6話くらいにまとめてくれれば名作といえずとも娯楽としては良い作品だったと思う。「あの花」を観た時に、全11話が短く感じたのとは真逆の感想である。